キールに沈んで (ページ9)

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『痛っ…』

衝撃ですごい音がした
背中もめちゃめちゃ痛い

痛ぎて一瞬息が出来なくて
目をつぶった瞬間彼の口が私の口を塞いだ

『ちょっ…やめっ』

抗議しようと口を開けば、彼の舌が入ってくる

興奮して下半身をを擦り付けてくるのも気持ち悪い

私が誰の愛娘なのか忘れたのか！？
制作会社の代表の娘だぞ！？
お父さんにチクって俳優として終わらせてやろうか！

なんて良くない心が出てしまうくらいには気持ち悪かった

もう我慢ならん
終わったら一発ぶん殴ってやろう

そう挙に力を込めた時

「ここです！さっきすごい音がして！」

という声と数人の慌てている様子の足音
その直後にバンと勢い良く扉が開いて入ってきたのは

「橘ちゃん！？…っお前何してんだ！！」

ものすごい勢いで早乙女さんを引き剥がし
私の肩に触れる

『北山さん…』

その顔を見た瞬間

怒りに隠れて
ずっと我慢していた物が涙として出てしまう

『うぅ～』

「よしよし、もう大丈夫だから」

北山さんの胸にしがみ付き
背中をトントンして貰うと心が落ち付いてきた

「もう大丈夫？」

『うん』

北山さんから一度離れて、未だ転がっている早乙女さんを見下ろす

「あ…なんで…？」

『なんでもクソもありません。
この事は父にも報告させていただきます。』

すっかりうなだれている彼だが
これ以上被害者を出してもいけない

北山さんと一緒にかけつけてくれたスタッフさんたちに早乙女さんを回収してもらって
私は北山さんに送ってもらうことになった