キールに沈んで (ページ49)

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いつもより急いでシャワー済ますと
ダイニングのテーブルにはお寿司とショートケーキ

『なぁにこれ、なにかのお祝い？』

「ん、いーから｣

彼に促され席に着く

「読んで｣

『え、なに？はっぴーほわいとでー…』

「いやまあ、明日は俺来れそうにないから1日早いけど｣

『～～～』

柄にもない行動をしてくれる宏光に感激して声が出ない

変わりに勢いよく彼に抱きつく

『ありがとう、本当に嬉しい』

「A」

『なぁに？』

「愛してるよ」

『！！！』

びっくりして体を離すけど
直ぐに抱きしめられるから
きっと彼の顔は真っ赤なんだろう

それが分かるから余計に嬉しくて

付き合う付き合わないじゃなくて
私は北山宏光が大好きで
彼も私のことが好きで
それだけで幸せなんだ

本当に心からそう思ったんだ

「あとコレ…」

『なにこれ』

「ネックレス、お揃いじゃないけど」

『何それ嬉しすぎ～』

ハートとピンク色の石が可愛らしい
そこそこいい所のネックレス

『付ける』

「今付けんの？」

『うん、で毎日付ける』

「ふふ、嬉しそうだな」

『嬉しいもん』

鏡を見ると胸元に輝くネックレス
普段使い出来そうだし
本当に毎日付けちゃお

「さ、食おうぜ。腹減った」

『食べよ食べよ！』

2人並んでお寿司を食べる

「うまー！」

『幸せ～』

少年のような笑顔で寿司を頬張る宏光に笑みがこぼれる

食事を終えてソファでまったりしていると
お酒を楽しんでいた宏光の手が腰に回る

『んふふ』

「んだよ」

『私もこれ飲みたい』

「いいけど」

宏光の手からグラスを奪い1口
赤い色が綺麗なカクテル

まるで宏光みたい

『わわ、これ飲みやすくて美味しい。なんてやつ？』

「キール。さっき飲んでた白ワインにカシス入れたんだよ」

『えー、これ好き』

「好きそーと思って作ってみた」

『流石』

「んで、俺そろそろ限界」

『私も』

両手でもっていたグラスをそっと取り上げられ
深いキスを

そのままゆっくりと沈んでいく

キールに沈んで

…fin