キールに沈んで (ページ44)

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お風呂上がり
諒くんが間違えて買ったとかいう
私にはブカブカすぎるトレーナー

『宏光でも少し大きいね』

「うるせー」

悔しそうに少しだけ裾をまくる

『私も1回着たけど大きくて辞めたんだよね』

「女の子が着るにはでかいよな」

『私もモデルのくせに160cmしかないからね。
高校の時から変わってない』

「そのくらいが俺にはちょうどいい」

『宏光ちっちゃいもんね』

「めり込んでるだけだ！元は180cmある」

『…何それ』

なんて会話をしながらトレーナーを着た宏光
諒くんセレクトだけど中々に似合っててかっこいい

そんな宏光にずっと気になってたことを聞いてみた

『てかさ、鍵どうしたの？私諒くんに返したんだけど』

鍵はマネージャーに返したし
会うタイミングも無かったと思うけど

「その諒くんから貰ったんだよ」

『は？いつ？』

「2週間くらい前かな？たまたま局で会った時に」

『は？』

「返そうとは考えたんだけどさー、Aんちの鍵なんだよなとか思ったら中々ね」

私の目を見ずに平然と言う宏光だけど
何となく分かってきた
これは照れを隠しているな

『そんなに私の事好きなんだ』

「俺一応言葉に出してるつもりだけど？」

『私の事避けようとしたくせに？』

「…それは」

ごにょごにょと言い訳のようなものを言いつつも
誤魔化すかのように抱き締めてくる

離れてた方がお互いのためだって思ったんだよね

付き合うことが出来ないなら
いっその事離れてた方が私が苦しまないって考えてくれたんでしょ？

そして、今抱えてるものがあるから
恋愛関係で撮られたりしたら
宏光も、キスマイも危ないって思ったんだよね

分かってるよ