キールに沈んで (ページ34)

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「Aちゃーーーーん」

『何その顔、キモチワル…』

翌日

私を迎えに来たマネージャーは
今まで見た事無いくらい緩みきった表情で私を出迎えた

『ていうか、二日酔いとかじゃないの？大丈夫？』

「朝事務所でアルコールチェックしたから大丈夫」

『そう』

初っ端で反応しちゃったけど諒くんの子の表情は無視が1番なの分かってるから
スルーしたけど

「北山さんとさー、お付き合いとかさー、始めちゃったりする訳？」

ほら、すぐこういうことを聞いてくる

『北山さんアイドルなんだから無理でしょ普通に』

「えー、J事務所って別に恋愛NGな訳じゃないでしょ？オープンな訳でもないけどさ」

『アイドルって職業にプライド持ってんのよ、彼は』

昨日は本当に疲れた

髪の毛を乾かさずに寝ちゃったせいで
朝寝癖凄かったし

北山さんがいつ帰ったのかも分からないし

『あ、そういえば諒くんコレ』

「なぁに？」

『鍵、返すわ』

「ええ！これ僕北山さんに渡したんだけど」

『その北山さんから受け取ったのよ』

「えええええ」

朝、家のポストに入ってた

もうここには来ないのかなってちょっとだけ寂しかった

「北山さんに、諒くんからのプレゼントです返却不可ですって今すぐにメッセージおくってよ」

『嫌よ、ていうか北山さんの連絡先知らないし』

「ええええ！！」

『うるさ……』

「Aちゃんってそんな草食系女子だった？」

『マジでうるさい。ちょっと寝る』

ブランケットを被って目を閉じる

藤ヶ谷さんに北山さんの連絡先教えて貰おうかなぁ
いや
グループ内で変な空気にさせたくないし

何も無かったって事にした方が
きっと楽だし

ああ
アイドルって大変なんだなぁ