キールに沈んで (ページ31)

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「はぁ…っ」

『……』

「生きてる？」

『死んじゃうかと思った』

「はは」

私の後を追うように果てた彼は
ゆっくりと私の中から抜けて

力なく横たわる私にキスを落として
後始末をしていた

「なぁ、A見て」

『どうしたの？』

「すっげー濃い」

『……そう言うのってあんまり言うもんじゃないと思う』

ゴムを見てニヤニヤと笑う彼に
ため息をつきながら
汗ばんだ体を休める

「水か何か飲む？」

『あ、そこのチェスト開けると冷蔵庫あるよ』

「まじ？」

朝起きて直ぐに飲み物を飲みたい＆
キッチンまで行くのが面倒くさい
な私は寝室に小さい冷蔵庫を設置していた

「うわ、マジじゃん俺も寝室に置こうかな」

『北山さんビールばっかりになりそう』

「んな事ねぇわ」

『私も飲みたい…』

彼が持つペットボトルに手を伸ばせば
私にも水をくれると思っていた

手を伸ばしたままの私を横目に
「ぷはー」と声を漏らしながら水をぐびぐびと飲む

『ねえ、私には？』

「俺の事名字で呼んだからあげない」

『私の水なんだけど…』

モゾモゾと布団の中に潜り込むとほんのり眠気が襲ってきそう

「寝るなよー？」

『うん、寝る前にシャワー浴びたいし
すっぽんぽんで寝たくないもん』

「水飲む？」

『飲む』

なんだかんだ水を持ってきてくれるから優しい
体を起こしてペットボトルを受け取る

「飲ませてあげようか？」

『…介護的な？』

「チューして飲ませるの」

『今はいい』

「じゃあ今度な」

水は普通に飲みたいけどなあー
なんて思いながら水を飲む

ペットボトルをサイドテーブルにおいて
また布団に潜り込む

「おれもー」って言って一緒になってベッドに入ってくるから
私もついつい体を寄せてしまう

そんな私をそっと抱き寄せてキスをして
見つめあって笑う

「A」

『ん？』

「好きだよ」

『私も、好き』

絶え間たく落ちてくるキスに笑っちゃいそうになりつつ
キスが気持ちよくて堪らない