キールに沈んで (ページ28)

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この場の空気に流されちゃうのもいいけど
気持ちを自覚しちゃった今、
そんな顔する北山さんをほっとけなかった

『なんで、そんな顔するんですか？』

「俺どんな顔してる？」

『なんか、悲しそう？辛そう？そんな感じ』

また一瞬

そんな表情をして
それを隠すように口付ける

そのまま私を抱き寄せるので、私も背中に腕を回す
肌と肌が欲れ合って、恥ずかしいけど心地良い

「こんな事言ったら俺のこと嫌いになるかも」

『やだ、そんな変なこと言うの？』

「……普通、そんな事無いよだろ」

『それは北山さんが言う事次第だもん』

大丈夫
今日はまだ盲目だから
何言われても嫌いにならないよ

多分

「嫌いにならないって約束するなら言う」

『何それ子供みたい』

「約束する？」

『分かった約束する』

そう約束しても北山さんはどこか辛そうで
こっちまで聞くのが怖くなってくる

ぐっと抱き付く腕に力を込めると
北山さんも返してくれるから嬉しくなっちゃう

「A」

『ん？』

「このままで聞いて」

『うん』

ここまで来ても躊躇してるのが分かる
そんなに言うの怖いのか…