キールに沈んで (ページ27)

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「いい？」

その言葉に返事はせずに、こくりと頷くと
一気におそってくる圧迫感

「A、カ抜いて」

『ムリッ…！』

「A～」

『北、山さん…』

「大丈夫。深呼吸して」

彼の腕にしがみついて、少しずつ慣れるのを待つ

ヒィヒィ言いながら
違うところに意識をやって気を紛らわす

「A、今何考えてる？」

『鶴瓶さんの顔思い浮かべてます』

「なんだそのチョイス」

『今度共演するので…っ！？』

「俺の事考えろよなー」

少しずつ馴染んで来たかなー
とか思っていたところなのに
いきなり角度を変えられて身体が跳ねた

『急なのはだめぇ』

｢Aって処女？」

『は？』

唐突な質問に頭が追いつかない
なんてこと聞くのよこの男は

「あー、そっか」

『いや、違うから！1人で納得しないで！？』

いやだ、急に静かにならないでよ

私の手を握ったまま、
黙りこくってしまう彼に不安になる

抜けちゃわないようにゆっくりと体を起こすと
片手をついてバランスをとりながら
もう片方の手で彼の頬に触れる

『北山さん？』

「ん？」

『大丈夫ですか？』

「何が？」

『何がって、そんな顔するから…』

私言葉にうーんと口を少しとがらせた彼は
私を引き寄せ上に座らせる

ちょっとまって
この体勢奥に当たる

「声我慢しないで」

『今は、北山さんの方が大事です』

「何、どういう事？」

『ちょ、動かないで…』

さっきちらりと見えた顔が切なげだったから