キールに沈んで (ページ12)

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と、そんなこんなで北山さんをに招待してしまった訳だけれども…

ソファに座って台本を読む彼の姿を見ていたら
途端に緊張してきた

キッチンで彼から見えないようにしゃがみ込んで頭を抱える

って言うか車でキスされたのに家に話うってヤバい！？
そもそも、他の男に襲われたその日に招待するってもはやアバズレ！？
いやー！そんなつもりじゃないの！！

「何してんの…？』

バタバタと悶えていると、様子を見に来た彼に見っかる

『ナンデモアリマセン』

カタコトで答えると
「ほら」と手を差し伸べて立ち上がらせてくれる

タイミングよくお湯が沸いたので、紅茶を入れて、
クッキーとガトーショコラを皿に並べる

一緒にソファに戻っておずおずとクッキーを差し出す

『どういですかね…？』

「うん、めちゃめちゃ美味しい」

本当に美味しそうに食べてくれる北山さん
その顔を見てるだけで私まで幸せだ

「橘ちゃんも食いなよ」

と私の口にクッキーをねじ込む彼は、とても37歳には見えなくて
あの人の方が大人びてたなーなんて思いながらクッキーを飲み込む

「橘ちゃん本当に大丈夫？」

『え？』

「さっきから様子おかしいから」

『そんなにおかしいですかね…』

おかしいのはたぶん自宅に北山さんが居るからで…
それをきちんと目覚したら余計に緊張してきた。

「まー、あった事あったら無理ないか」

そう1人で納得しながら
私の頭を撫でる北山さんのこれは天然なのか？

だとしたらそうとうタチが悪い

「ふふふ。顔真っ赤」

そう言われると余計顔が赤になるのは必然で
ふふふ、と笑う北山さんの顔がなんだか可愛いくて

そう、自分から

私から彼にキスをしたんだ