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____…コツーン



ネット際に一直線に置かれたペットボトルに、

勢いのなくなったボールが落ちる。



影山「(____…クッソ、流れた…!)」



本人は悔しそうな顔をしているけれど、

部活終わりに自主練を始めて、まだ3日目で習得するなんて、



A「(____…どーなってんだ、ほんと…)」




____私でも、2ヶ月はかかったのに。




A「もうちょっと指の腹に力入れてみー」

影山「ハイ!」



ま、アドバイスなんかしなくても

この人はすぐ出来るようになるんだろうなぁ。


感覚もいいし、センスもいいし、

なにより、上手くなりたい、という欲が誰より強い。


A「ん、じゃあそろそろ時間かな」



時計を見てそう告げると、



影山「あっ、あと1本お願いします…っ!」



物足りなさ満載の顔で懇願してきた。



A「えー…あんたさっきもそう言ったじゃん…」

影山「ほ、ほんとに次で最後にします!」



Aは呆れたように笑うしかなくて。


こうなると、もうAの負けは決まっている。




A「ほんと、あと1本ね!」




____________




影山「Aさんって、なんでバレーしないんですか?」


途中まで方向が一緒のAさんと並んで歩く。


さっき奢ってくれた肉まんを頬張りながら、

烏野にきて、マネージャーをやってるAさんを


見た時から、ずっと感じていた疑問をぶつけた。



Aさんは中学の時、2年で正セッターになって。

身長は高くないけど、圧倒的センスとテクニックで有名だった。


ベストセッター賞を2年連続で受賞、

3年の時には確かベストサーバー賞も取ってたはずだ。


新山女子高校とか、女子バレーの強豪から

軒並み推薦がかかっていたとも聞いていたのに、


まさか烏野で再開、

しかも、マネージャーをやってるんだから驚いた。



A「…あんた知らなかったっけ」

影山「?はい」



Aさんは自分の肉まんを半分に割って、

片方を口に入れた。




____聞いたらまずかったのか?





A「…できないの」



影山「…は?」





予想外の答えに、声が漏れる。









A「しないんじゃなくて、できないの」

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作者名:カカシ | 作成日時:2019年11月20日 17時

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