英くんが今日も愛しい【国見英】

49.舐めんな ページ15

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「はァい、アゲてこアゲてこー」

『………おだまり』



パンパンと背中を孝支に叩かれる。

が、私の機嫌は最低だった。


朝起きてから今までずぅーっと良いことない。


寝坊して天気予報見忘れて雨に打たれるし、

あんまり好きじゃない教授に
うとうとしてただけで怒られるし、
(隣の孝支思いっきり突っ伏して寝てたっつの)

その後執拗に私ばっかり質問されるし、
呼び出されて小一時間説教食らうし。
　



「今日飯行く？」

『…パス…』

「参ってんなー」



孝支に肩を叩かれて、大学から出た。


今日は家に英くんが泊まりにくる。

…っあー、だめだめ、切り替えろ私。

こんな顔をして出迎えるわけには。




「いい匂いする」

『今日はハンバーグだよー』




英くんを出迎えて、夕飯を食べる。

今回もいい食べっぷり。
食べている顔がほこほこしていて癒された。



「Aさーん」



食べ終わって食器を片付けていると、
ソファに寝そべる英くんに呼ばれた。



『なぁにー』

「膝枕して」

『ん"っ』



英くんは最近甘えん坊になった。

正直甘やかすのはよくないって思ってはいるんだけど、



「頭撫でてよ」




けど、




「ねぇちゅーして」




あぁあダメだ何言われても可愛いぃい

アンタそんなキャラじゃなかったじゃん
何だよもう〜ほんと可愛いんだよ〜




「なぁ、何かあっただろ」

『へ？』




英くんが膝に頭を乗せたまま、
私の頬を両手で掴んだ。

さっきまでの甘えたな雰囲気とは打って変わって、
下から真っ直ぐに私を見つめている。



『別に…何もないけど…？』

「嘘。何もないのにそんな顔しない」



…え、うそ、バレてる



何て返すか迷っていると、
英くんが体を起こして真正面から私を見た。




「聞かなくたって見れば分かる。……彼氏舐めんな」




英くんがコツン、と額を合わせて手を握られる。

じんわりと目に膜が張って、涙で視界がぼやけて、
英くんの顔が歪んだ。




…なに、もう。

カッコ良すぎるんだけど〜………





『ほんとマジでなんなの彼奴新幹線みたいな顔しちゃってさ、』

「はは、俺Aさんの口の悪さ嫌いじゃないよ」




この後小一時間愚痴った。






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