【及川徹】これを愛と呼ぶなら。#9

【勝手な誤ち】 ページ5

・


A「ん…」


ぱち、と目を開けると見慣れた天井。





______…あぁ、コレやったな






時計を見ると深夜2時。


思考が明瞭になって全部思い出し、

風呂に入って、国見ちゃんに「ごめんなさい」メールを送る。


冷蔵庫から水を取り出して飲むと、

冷たい感触が食道を伝っていくのが分かった。



まだ、酔いが少し回っているのか、

頭がくらくらした。





______…本当に、酔いと言うのは末恐ろしいもので。





やめておけばいいのに、

スマホを取り出し、〈及川徹〉に向けて電話をかけた。


日本とアルゼンチンの時差は、約12時間。


今こっちが深夜3時だから、

単純計算で向こうは昼の3時。



しばらく呼び出し音が続いて、



及川〈もしもし〉




私には眩しすぎる、彼の声がして。




及川〈こんな時間に珍しいじゃん〉



A「…あの、さ徹くん」



いつもと違う雰囲気に何か察したのか、

彼は黙って次の言葉を待っている。




A「…私の、どこが好きなの」




及川〈…は？〉





私の突然の問いに、不意を突かれたような声がした。






及川〈…なに、いきなり〉








心臓が、どくん、どくんと大きく脈打つ。

水の入ったコップが、手を滑ってシンクに落ちた。









______…あぁ、私はもう金輪際、









____________…酒を飲まないと誓おう









A「______…苦しい、の」

…2→←…4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す