…4 ページ22
______
ふと、目を覚ますと、
目だけでこちらを見つめるAと目が合う。
頬に伝っている涙を指で拭いてやると、
ぽろぽろと涙を流して、ごめんなさい、と謝り続けていた。
全身麻酔の倦怠感、痛みに耐えながら、
一体何に謝っているのかは定かではないが、
それでもAは謝ることをやめなかった。
黒尾「…ん、だいじょーぶ」
頭をぽん、と撫でてやると、
少し落ち着いたのか謝るのをやめた。
黒尾「…研磨も来ててさ、あいつ普段あんま泣かねーのに、
Aが倒れたとき泣いててさー」
椅子に再び座って、Aの手を握る。
黒尾「…皆も、会いたがってた。」
Aの小さくて細い指に、わずかに力がこもる。
その手を、自分の頬に這わせると、
指がわずかに動いた。
黒尾「…夏樹くん、今日埼玉出て、
明日面会に来るって。皆もくるってよ」
うまく喋れないのか、Aの口がパクパクと動く。
多分、『し、あ、い、は?』と
言っているのだと予想がついた。
______…言って、いいのだろうか。
次は手全体に力が込められて。
俺もゆっくりと口を開いた。
黒尾「______…まけたって」
Aの目が、大きく見開かれる。
その大きな瞳には、涙が溜まっていって。
肩を震わせて、静かに嗚咽を漏らした。
黒尾「…Aのせいじゃない」
ベッドに横たわって大粒の涙を溢すAの頭を撫でてやる。
黒尾「…だいじょーぶ、Aのせいじゃ、ないよ」
______…胸が、痛く苦しかった。
143人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カカシ(プロフ) - marindさん» marindさん、コメントありがとうございます(*´˘`*)黒尾編もう少し続きますので、是非お付き合いください(*´˘`*) (2020年1月2日 0時) (レス) id: 0f83681d36 (このIDを非表示/違反報告)
marind - 黒尾さんやばい!めっちゃカッコいいいいい!!! (2020年1月1日 18時) (レス) id: e8598985e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:カカシ | 作成日時:2019年12月11日 13時