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あぁ、
聞くんじゃなかった。
及川「アルゼンチンのチームに行くんだよ」
そう言われて、一瞬思考が固まった。
A「えっ⁉いつから⁉」
明瞭になった頭で徹くんに掴みかかると、
静止され、腕を離された。
出発は、3月の14日。
今日から1ヶ月後。
卒業のことあんまり聞いてなかったし、
あわよくば同じ大学行けたらな、
なんて軽い気持ちで聞いただけの自分を殴りたい。
A「そっかー、じゃあ餞別にいいものをやろう」
ソファから立ち上がって、キッチンに向かう。
冷蔵庫から、
可愛くラッピングしたチョコレートを取り出した。
A「______…っ」
大きく〈LOVE〉と書かれたハートのシールを、丁寧に外す。
そうだよ、だって。
こんな気持ち、邪魔になるに決まってる。
それに、以前告白してくれた時から、
どれだけ時間が経ったと思ってるんだ。
______…あぁ、こんなことならもっと急げばよかった。
春高が終わってから、とか。
告白してくれた人、ちゃんと断ってから、とか。
徹くんが、今も私のことが好きなんて保証どこにある?
A「…っ!」
じんわりと目の奥が熱くなって。
______…泣いちゃダメ、大丈夫。
A「あげるー」
及川「えっバレンタイン⁉ありがとう!」
煩い心臓を抑えて、チョコを投げる。
及川「これ本命だったりする⁉」
______…胸が、ズキズキして、痛かった。
A「…余り物、」
本命なんてもらい飽きてるでしょ、と笑うと
まあねー?と自慢してきた。
笑ってお腹に軽くグーパンチすると、
徹くんもつられてケラケラ笑った。
______…気づかないで、いいよ。
小さなハートのシールに隠した、
〈本命〉だという小さな小さなメッセージ。
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作者名:カカシ | 作成日時:2019年12月11日 13時