e i g h t ページ8
『どうして？』
ヨンベが紹介してきたくせに。
｢ジヨンは、か。
ちがうな。
Aは俺じゃなきゃだめだよ。｣
握ってくる手に力が入ったのがわかった。
また心臓が抉れそうな感覚。
ヨンベの前ではいつも笑顔で
ヨンベの心の拠り所であれるように
涙なんか、弱さなんか、
見せたこと一度たりともなかった。
のに。
鼻がツンとして
おさえられない涙が溢れた。
『自分勝手な男。』
独り言のように呟いても
握られた手は振りほどけない。
人気の無い道で車が止まって
わたしに向き直すヨンベの顔が見れない。
化粧もとれてるはず。
ジヨンにはどんなわたしでも見せれたけど
ヨンベには常にかわいいわたしでいたい。
｢A、こっち向いて。｣
残酷なくらい優しいヨンベの声。
もうやめて。
止まりかけた涙がまた溢れる。
｢ずっと気付かないふりしててごめんね。｣
いつもわたしの涙をすくってくれるのは
この指じゃない。
この指をどれだけ欲しかったかヨンベにはわからないでしょ？
｢A、ごめんね。｣
なんのごめんね？
わたしの気持ちを気付かないふりをしていたこと？
ずっとわたしを利用していたこと？
気付かないふりし続けた挙句結婚したこと？
思うことは沢山あるのに
怒りたいのに伝えたいのに
ヨンベの前じゃ泣かない
って
長年我慢していた反動がすごくて
声にならない。
｢俺、結婚するけど
Aには幸せになってもらいたい
って本当に思うんだけど
Aを誰にもわたしたくないのも本当。｣
くそやろう
って殴ればいいのかな。
殴りたいのに
ヨンベがぐっと近付いてきて
欲しかった腕で抱きしめてくるもんだから
もう何も考えられなくなる。
『すき。
ずっとずっとずっとずっと
すきだったよ。』
言葉にしたらこんなに簡単なのに。
言葉にしていたら何か変わっていた？
｢ごめんね。｣
わたしを酷く傷つける言葉しか言ってこないくせに
抱きしめてくる腕は反比例して力強くて
わたしを離そうとしない。
ずるい。
ずるいずるいずるい。
『ヨンベのこと
だいすき。
だから、
お願い。
もう、さよならさせて。』
やっぱり耐えられないの。
タキシードのを羽織るヨンベの隣にいるのはわたしでありたいと
ずっと願ってきたの。
どう考えても無理なの。
ヨンベと彼女の幸せを願えるほど大人じゃない。
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homie.(プロフ) - あや1104さん» コメントありがとうございます。少しづつですが更新がんばりますので最後までお付き合い頂けたら幸いです。 (2018年6月17日 2時) (
レス) id: f34b59ce72 (このIDを非表示/違反報告)
あや1104(プロフ) - はじめまして。せつないですね。続きがとっても気になります。 (2018年6月7日 13時) (レス) id: 4653acb7ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：homie.
| 作成日時：2018年4月23日 10時
