いいこと思いついた ページ40
家の中に置いてあるものは大して変わって居なかった。
懐かしい匂い。Aの匂い。
ベッドにAを寝かせると少し唸る。
「A」
「んんー、きもちわるい」
「水飲む？」
「のむ」
冷蔵庫を開けるとペットボトルが入っていてそれを渡す。
受け取ってひとくち飲むとサイドボードに置いた。
「ジン？」
「そうだよ」
「じゃあまだ夢だ」
「なんでそう思うの？」
「じんがここにいるはずないんだもん」
ふーん。あ、いいこと思いついた。
「そうだよこれは夢」
「やっぱり」
「だから今したいこと全部言っても俺はいなくならないよ」
「ほんと？」
ほんと、と返せばんー、とAは目を閉じた。
ゆっくりと細く開いた目は俺を捉えて、笑う。
「そばにいて」
「他には？」
「だきしめて」
「あとは？」
「すきっていって、溺れさせて」
なにそれって俺は笑って彼女の唇を食む。
触れる度熱くて彼女が持ってる熱が自分に感染って来てるんじゃないかと思う。
名前を呼んで、好きだと繰り返せばいつもよりも感じる。
「このまま醒めなきゃいいのに」
「なんで？」
「起きたらジンは居なくなっちゃってるから」
「どうかな」
「ほら」
なんて言いながらくあっと欠伸をした彼女にいいから寝なよと笑えば嫌がりながらも目を閉じていく。
おでこにキスを落として、でも
「今日のことはまだ、夢でなきゃいけないもんな」
クローゼットを開くとあの部屋と同じようにハンガーにかけられた俺のTシャツ。
少しだけ、香水をかけて部屋を出た。
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美月(プロフ) - 複雑な人間関係とかも丁寧に表していて、凄く楽しかったです。深く感じました。楽しかったです。ありがとうございました。 (2019年8月3日 2時) (
レス) id: 44a792e69c (このIDを非表示/違反報告)
ちぇり(プロフ) - 思い出して読みたくなる素敵なお話ありがとうございます。また読みに来ます。 (2019年5月13日 23時) (レス) id: 3f39f65784 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 素敵な読み物ありがとうございました…！ (2018年9月10日 21時) (レス) id: 9f5b6c1252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うた | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/deepblue
作成日時：2018年4月26日 1時
