夢の中なのにへんなの ページ37
ふわふわと地面から離れてるのに前に進んでる感覚。
夢かなあ。
ぐすん、と鼻を鳴らせば起きた？なんて声をかけられる。
この声は多分ジンだ。てことは夢だなあ、だってさっきまでサグワくんといたんだもん。
夢なら、とだらりとしていた腕をきっと彼の首に巻き付ける。
「じんー」
「んー？」
「じんだー」
「そうだよ」
「ほんとにじんー？」
「ほんとだって」
夢の中のジンがクツクツと喉を鳴らして笑う。その振動が胸に伝わってわたしも小さく笑う。
「あのね」
「んー」
「きいてくれる？」
「きくよ」
「きっと、ジンが欲しいことばをかけたのも、聞かないで欲しいことに触れなかったのも」
「んー」
「都合のいいわたしでいたのはジンのためなんかじゃなかったの」
「じゃあなんで」
「わたしがジンの特別でいたかっただけなんだよたぶん」
「特別だったよ、お前はずっと」
「いまは？」
「今は、またちょっと違うかな」
「ちがうの？」
「それは起きたら教えてやるよ」
だからまだ寝てろ、ってジンは言って笑った。
「ここは夢のなかなのにへんなの」
でもジンが言うんだから寝よう。
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美月(プロフ) - 複雑な人間関係とかも丁寧に表していて、凄く楽しかったです。深く感じました。楽しかったです。ありがとうございました。 (2019年8月3日 2時) (
レス) id: 44a792e69c (このIDを非表示/違反報告)
ちぇり(プロフ) - 思い出して読みたくなる素敵なお話ありがとうございます。また読みに来ます。 (2019年5月13日 23時) (レス) id: 3f39f65784 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 素敵な読み物ありがとうございました…！ (2018年9月10日 21時) (レス) id: 9f5b6c1252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うた | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/deepblue
作成日時：2018年4月26日 1時
