だっさいカフス ページ28
泣き疲れて眠ったAに今日も置いていったシャツに香水を振り掛けて外に出る。
タクシーを拾おうと大通りに向かう途中で視線を感じて振り返る。
「やっぱりただの同級生じゃないじゃないか」
え、こいつやば。
「家まで尾けてくるとかただのストーカーっすよ」
「Aちゃんのなんなんだよ」
「俺はたぶんAの好きな人、とかじゃない?」
ふざけるな、なんて漫画みたいに向かってくるんだけど、屈んだらふつうに避けられた。
なにこれウケる。
「俺にもアイツにももう二度と関わんないでもらっていいすか?めんどくさいんで」
立ち去ろうとすればもう1発、みたいな。反射的に出た腕に痛み。
うわ、だっさいカフス着けてる。
「じゃあ正当防衛で」
1発蹴るとそれ以上は何もしてこなかった。
髪を掴んで顔を上げさせる。
「関わんなよ」
返事は?聞けば2、3回首を縦に振った。
それを見届けて改めて大通りに向かう。え、血出てるし痛いんだけど。顔面に1発入れるくらいしとけばよかったとか思いつつタクシーを拾えばシートに血垂らすなみたいな。
めんどくさい。アイツも厄介なやつに好かれやすいなと思う。
俺とか、マホトとか。
家に帰ればステップが騒いだせいで大事になりかけたけど、まあ切れてるだけだし大した傷じゃないから、わきをに包帯巻かせてパグキンさんの傍に布団を敷く。
おやすみ、とケージの隙間から首の下を撫でると鼻を鳴らす。可愛いなあ。
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美月(プロフ) - 複雑な人間関係とかも丁寧に表していて、凄く楽しかったです。深く感じました。楽しかったです。ありがとうございました。 (2019年8月3日 2時) (レス) id: 44a792e69c (このIDを非表示/違反報告)
ちぇり(プロフ) - 思い出して読みたくなる素敵なお話ありがとうございます。また読みに来ます。 (2019年5月13日 23時) (レス) id: 3f39f65784 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 素敵な読み物ありがとうございました…! (2018年9月10日 21時) (レス) id: 9f5b6c1252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うた | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/deepblue
作成日時:2018年4月26日 1時