1番は誰？ ページ3
わたしはいつだっていちばんにはしてもらえなかった。5本の指には入れてるかなあくらいの感じで、それでもずっといつだってジンが帰ってこれるように腕を広げて待っていた。
「もう昔みたいにはなれないのかな」
言えばマホトはバツが悪そうな顔をした。
別に何があったわけじゃないんだろう。
でも大人になればそんなこといくらでもある。
ありふれている。
ふたりは同じ世界にいるんだから余計だ。
「仲間家、楽しかったよ」
酔いつぶれたマホトを送るために1度だけ行ったことのあるその場所はとても温かくて不思議な空間だった。
「おーい！大黒柱のお帰りだぞ！」
玄関に入れば、大声でマホトが叫ぶ。
人の肩にもたれてるんだから大きな声を出さないでほしい。
「え、親方女の子と飲んでたの！？！」
奥から出てきた赤髪の男の子が驚いたように近づいてきてわたしの肩からマホトを引き取ってくれる。
「Aは女か？女だよなあ」
なんて意味の分からない返事に男の子は苦笑い。
「いつもマホトがお世話になってます」
ふざけて言えば
「お前どの立ち位置なの」
どこかの部屋から出てきたジンが笑った。
男の子が奥にマホトを連れて行くと、奥からマホトが叫ぶ。
「おいA！どこだー！」
わたしも苦笑いすると、ジンは上がってけば？とだけ言って奥の部屋に向かう。
どうやらそこがリビングらしい。
ガシャンガシャンと何かが落ちる音がしたり騒がしいその場所で、どうしようか、と玄関で立ち尽くしているとさっきの男の子がまた出てきて声をかけられる。
「オネーサンあれ抑えられるなら上がってって！寝るまででいいから！」
まあ、マホト酔うとタチ悪いもんね。
お邪魔します、って小さく言ってみんなが入っていった部屋に入ると今度は緑髪のオニーサンがマホトにいじめられてて、ジンと別の赤髪さんはそれを見て笑ってる。
「何してるの」
「そこにいたのか」
そこ座れ、とソファを指さされ、言う通りにすれば、マホトは彼をいじめるのをやめてわたしのところに寄ってくる。
「ハイハイ、眠いねー、寝ようねー」
マホトをあやすとんんー、なんて唸ってそのままソファに倒れ込む。
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美月(プロフ) - 複雑な人間関係とかも丁寧に表していて、凄く楽しかったです。深く感じました。楽しかったです。ありがとうございました。 (2019年8月3日 2時) (
レス) id: 44a792e69c (このIDを非表示/違反報告)
ちぇり(プロフ) - 思い出して読みたくなる素敵なお話ありがとうございます。また読みに来ます。 (2019年5月13日 23時) (レス) id: 3f39f65784 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 素敵な読み物ありがとうございました…！ (2018年9月10日 21時) (レス) id: 9f5b6c1252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うた | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/deepblue
作成日時：2018年4月26日 1時
