乾杯 ページ19
「じゃあ久しぶりのAちゃんに乾杯！」
ぐっと缶をこちらに寄せた彼になんだそれ、と思わず笑ってしまった。
「サグワくんの20歳に乾杯」
「ありがとー！」
マホトはやっぱり無言で缶を軽く合わせて缶チューハイを一気に飲み干した。
「ああ、強くないんだからペース上げないの」
「あいつなんだよ」
「先輩だってば」
「いつもああなのかよ」
「そんなことないよ、今日ちょっとしつこかっただけ」
べつにマホトに言うことでもないだろう、軽くかわせばマホトは納得いってなさそうだったけど、サグワくんが暗いよー！って叫んでくれたおかげでなんかあったら言えよ、とだけ小さく言って、わたしが頷くのを確認するとそれからは普通になった。
いい具合に酔ってきたところで、サグワくんが誰か呼ぼうと言い出した。
ちなみにペースの早いマホトはもうだいぶ出来上がってるらしくわたしにひっついて離れない。
「Aちゃん会いたい人とかいないの？」
「うーん、面識あるのあの時仲間家に居た人くらいだしなあ」
「ならわきをがいいね」
いや、わきをくんは、昨日会ったし、なんて言えるわけもなく電話をかけ始めたサグワくんに頼むから出ないで！というわたしの願いも虚しく、わきをくんはやって来るようだった。
わきをくんが来る前にマホトはダウンして、引っ付いたまま寝てしまった。
バニラの香りが移ってしまってきっとジンの匂いは消えてしまっただろう。この人は気付いててやってるんだろうか。
「親方はAちゃんといる時が1番落ち着いてるね」
「そんなことは多分ないと思うけどね」
「ほんとだよー」
それはそれで困るなあ。苦笑いしか返せないでいるとチャイムが鳴る。
「あ、わきを」
インターホンに駆け寄ったサグワくんが発した言葉に緊張感が増す。マホトは寝てるし大丈夫だろうけど、うーん。
「あれ、オネーサンじゃん」
入ってきたわきをくんの第一声はそれ。そのタイミングでんん、なんてマホトが唸って起きる。
「おいわきを！早く飲め！」
酒乱かよ、とは言わない。わきをくんは大人しく座って缶を開けると、マホトとサグワくんに煽られるがままに1本をイッキで開けた。
それを見届けてマホトは2口3口缶に口をつけるとまた眠る。
そこからわきをくんとサグワくんの煽り合いが始まって、先につぶれたのはサグワくん。
まあ、そうだよね、飲み始めたの早いし。
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美月(プロフ) - 複雑な人間関係とかも丁寧に表していて、凄く楽しかったです。深く感じました。楽しかったです。ありがとうございました。 (2019年8月3日 2時) (
レス) id: 44a792e69c (このIDを非表示/違反報告)
ちぇり(プロフ) - 思い出して読みたくなる素敵なお話ありがとうございます。また読みに来ます。 (2019年5月13日 23時) (レス) id: 3f39f65784 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 素敵な読み物ありがとうございました…！ (2018年9月10日 21時) (レス) id: 9f5b6c1252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うた | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/deepblue
作成日時：2018年4月26日 1時
