鳥肌 ページ18
午後の業務も終えてマホトにLINEを入れれば下にいる。なんて返ってきたから急いで片付けて降りればエレベーターで例の先輩。
「Aちゃん今日は早いんだね」
「用事あるんで」
「そうなんだ、俺とも今度出かけようよ」
「タイミングさえ合えば」
当たり障りないように交わそうと言ったその言葉に彼は過剰に反応した。やばいかな、と開いたドアに早足で下りれば、追ってきて肩を組まれる。
「ねえ、いつならいいのかな？俺すごい楽しみだな」
「確認してみないとなので、また今度」
「じゃあ連絡先教えてよ、その方が決めやすいし」
めんどくさいなあ。そのままエントランスを出ればマホトが居て怪訝そうな顔をする。手を上げたマホトに駆け寄ろうとすると肩にまわった腕にこもった力が強くなって抜け出せない。
「あいつと出掛けるの？」
「そうです。離してもらっていいですか？」
「男と用事なら俺でもいいじゃん、ねえ、今日行こうよ」
なんだその理屈は。
中々来ないことに痺れを切らしたのかマホトがこちらに寄ってくる。わたしの手を引いて先輩を剥がしてくれた。
「誰？」
「先輩」
「あんまベタベタしないでもらっていいですかね」
先輩にそう言い放ったマホトはそのままわたしの手を引いて歩き出す。先輩が後ろで何かを言っていた気がするけど、聞こえないふりをした。
駐車場に向かう途中でマホトに抱き締められる。
「マホト」
いつ人が来るかも分からないんだからだめだよ。胸を押しても、離してくれない。
「鳥肌立ってるじゃん」
そう言ってわたしの体をさする。
言われて初めて気付く。怖かった。
「もう大丈夫だよ」
「いいから」
それから少しのあいだそのままで、きっとわたしの鳥肌が引いたタイミングで、マホトはまたわたしの手を取って歩き出す。
駐車場について黒いクルマに乗り込んだマホトに続く。
「わー！Aちゃん久しぶり！」
「久しぶりだね」
「早く出して」
「親方なんでそんな不機嫌なの」
「いいから」
ハイハイってサグワくんは車を走らせた。
道中マホトはずっと無言で、わたしのありがとうにすこし反応しただけだった。サグワくんは困ったように笑って、色々と話題を振ってくれたから助かった。
コンビニでお酒とおつまみを買って仲間家に向かう。
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美月(プロフ) - 複雑な人間関係とかも丁寧に表していて、凄く楽しかったです。深く感じました。楽しかったです。ありがとうございました。 (2019年8月3日 2時) (
レス) id: 44a792e69c (このIDを非表示/違反報告)
ちぇり(プロフ) - 思い出して読みたくなる素敵なお話ありがとうございます。また読みに来ます。 (2019年5月13日 23時) (レス) id: 3f39f65784 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 素敵な読み物ありがとうございました…！ (2018年9月10日 21時) (レス) id: 9f5b6c1252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うた | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/deepblue
作成日時：2018年4月26日 1時
