Girls just wanna have fun (ページ32)

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今Aの手を握って出来るだけ目を見て

「こんな毎日で良かったら残りの全部
まとめてお前に全部あげるからさ」

「急にどうしたの」

彼女は笑う

きっと人を想う事も大切にするって事も
大袈裟じゃなくてお前が教えてくれたんだよ

だから

「もう俺はAのものになってもいいと思ってる」

「ジンらしくないね」

「俺らしさをなくしたのは多分お前だけどな」

そうだっけ？なんてとぼけたフリをする彼女に俺は笑って

「本当は最初からどこかでAを好きになるって俺は気付いてたんだと思う、だからきっとお前を避けたんだ」

「あれはひどかったね」

「ごめんって」

あれから何度かAから連絡が来てたけど
俺はやっぱり既読無視をして

形があるといつか壊れてしまうなら

初めから作らなければその方がいい

失うのが怖くて
繋がってしまうのが怖くて

そんな風になるくらいなら、最初から

何ヶ月か経ってあのクラブの同じバーカウンター

座っていれば女なんていくらでも寄ってくる

LINE教えてよ、とか
このまま二人で出ようよ、とか
聞き飽きた台詞を口にするヤツらを適当にあしらって
でもまあ、もう誰か連れて出てしまおうか、なんて

「ジン」

だけど寂しい俺を見つけるのはいつだってお前で

「久しぶり」

「ん、」

「LINE返してくれてもいいのに」

「ああ、ごめん」

「避けてるでしょ、わたしのこと」

「そんなこと」

「ねえジン」

もう寂しくなくなった？なんてそんな風に笑って聞いてくるAの方が俺なんかよりずっと寂しそうで

何故だかまた満たされた気持ちになって、彼女を抱きしめれば、ばーかってAは笑う

それからAは何度も、何度も俺の名前を呼んで、そのたびに俺は満たされていく