Girls just wanna have fun (ページ23)

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Darling JIRO ページ23

またテレビつけたままで気持ちよさそうにソファで眠る彼はなんだか優しい顔をしていて

ねえどんな夢見てるの？

幸せそうな寝顔から顔を上げて部屋を見渡せば
やっぱり汚い

服は脱ぎっぱなしで靴下も裏返し

「もー、誰が片づけるの」

独り言に彼は少し唸る

まったく

小さくため息を吐いて片付けながら少し昔の話を思い出したりする

いつか友達と語り合った理想の人と全然ちがうのに

「なんで好きになっちゃったのかな」

「何を？」

独り言に返事が返ってきたことに驚いて顔を上げれば、
いつの間にか起きていたジローがわたしのことを見ていて
まだ眠たそうな顔で手招きをする

隣に座って口を開く

「じろーのこと」

「え、なんでよ」

「だって理想とは全然違うんだもん」

「悪かったなあ」

少し拗ねたように言うジローがやっぱりなんだか愛しい

「わたしって少し変ってるのかも」

「それは俺に失礼」

そう言って頭をぐりぐりと方に押し付けてくるジローの前髪を撫でれば少し笑う

犬みたい

今まで出会ってきた人の人数なんてもう覚えてないけど
こんなに放っておけないって思う人は
ジローしかいない、かもね

「ねえジロー、どっちがいいと思う？」

久しぶりの外デート

スカートとワンピースをそれぞれ持ってジローの方を振り向けばまだ寝起きの顔

「あ、今あくびしてたでしょ」

「んー？」

「どっちがいい？」

ん、ってジローが指さした方を急いで着てもう1度ソファで寝てしまいそうな彼を急かす

「ねえ早く出かけよ」

「お前待ちだけどな」

ジローは笑って玄関に向かってく

「待って！携帯忘れたかも」

「うそでしょ」

「やっぱないや」

鍵開けて！っていうわたしに彼はハイハイって笑う

あ、今ため息ついたでしょ

携帯を取って外に出るともう何も忘れてない？なんて茶化すように言った彼は笑いながら歩き出す

いつか聞いたジローの好きな女優さんとは似ても似つかないのにわたし

「なんで好きになっちゃったの？」

少し前を歩くジローの背中に向かって聞いてみる

「またその話？」

「今度はわたしじゃなくてジローがさ」

「俺？」

「だってきっとジローの理想ともちがうし」

んー、と彼は少し考える仕草をして

「変わり者なのかもな」

「あ、それはずるだ」

お返しって笑う彼に手を伸ばせばちゃんと繋いでくれる

今まで出会ってきた人の人数なんて覚えているわけもないけど、こんなにワガママ言えるのはジローだけ、かも