．．．84 ページ12
ずっと押し黙ってると、丸椅子がギッと動く音がして、彼が椅子から立ち上がった気配を背中に感じ取って。
そのまま足音が少しずつ離れて行って、ドアを開ける音がする。
ヤダ。行かないで。
そう思うのに声がうまく出せなくて、でも体も鉛みたいに重たくて。
それでも何とか手で体を支えて、起き上がってドアの方を見ると、彼の姿が見えない。
行かないで。
素直になれない自分にも、押し寄せてくる不安にも耐えきれなくなって、涙が零れ落ちた。
そのまま膝を立てて、布団ごと膝を抱き抱えて頭をうずめて泣くけど、声を我慢出来ず、病室に自分のしゃくり上げる声が響いて虚しくて苦しくて。
自分の泣き声を聞きたくなくて、膝を抱えてた手で耳を塞ごうとした時、慌てた彼の声が飛び込んできた。
翔「え？！何！どうしたんだよ！」
ベッドの側に慌てて近寄ってくる、彼の足音を聞いただけで安堵して。
私の肩に触れようとして手を引いたのを、気配で感じ取って切なくて、ますます涙が溢れ出る。
「…もっ、ム、リ……っ。待たないで……っ。」
翔「……落ち着いてから話そ？」
「も…ダメ…なの。」
翔「……待ってるのもダメ？」
彼が哀しそうに息を吐いたせいで、また涙が止まらなくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1441人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リュリュ(プロフ) - ゆうさん» ゆうさん。初めまして。此度はコメントの返信が遅れて申し訳ありませんでした。通知を見逃してました…。最高でしたなんて書いてありまして、嬉しくて、気付かなかった事に後悔…。こんな私ですがまたどこかでお会い出来ると嬉しいです！ありがとうございました！ (2016年8月20日 1時) (
レス) id: 533f88702c (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 初めまして、初めて書き込みします、ゆうと申します。懐が深く、愛情も深い櫻井さんが、本当に素敵でした！主人公のお話もとても切なくて、ドキドキしましたが、幸せな最後に頬もほころび、最高でした。感動しました！素敵な時間をありがとうございました。 (2016年6月22日 0時) (レス) id: 1b268a4632 (このIDを非表示/違反報告)
リュリュ(プロフ) - ゆぅぅぅさん» ゆぅぅぅさん！いつものグダグダな感じのラストでしたが、最後までお付き合い頂けて感謝です！！オトコな彼に襲われたい…笑。そんな私の翔さんが好きだと言って貰えて嬉しいです！また、ゆぅぅぅさんに愛される翔さんを目指して！本当にありがとうございました！！ (2016年6月16日 20時) (レス) id: 533f88702c (このIDを非表示/違反報告)
リュリュ(プロフ) - soraaさん» soraaさん。後日談も読んで下さってありがとうございました！！世の中嫌なコトばっかりですから、お話の中ではハッピーでありたいですよね！笑。しゃちょーな翔さんの下で働いてみたいものです。また、soraaさんに会える日を楽しみに…妄想は果てない…笑 (2016年6月16日 20時) (レス) id: 533f88702c (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅぅぅ(プロフ) - リュリュさん、完結おめでとうございます！！最後はやっぱり甘々なおふたりで(〃艸〃)嫉妬する翔くん可愛すぎです(〃艸〃)急にオトコのスイッチ入るとこも好きです(〃艸〃)リュリュさんの書く翔くんが大好きでした！！また翔くんのお話を書いてくださいね(*´∀｀*) (2016年6月16日 20時) (レス) id: 3d97cc6a06 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リュリュ
| 作成日時：2016年5月15日 10時
