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（緑）まずは名前からページ2

〇バイトの大学生と会社員

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家から徒歩５分弱のところにある、コンビニ。

若い女のひとり暮らし。両親からも、あまり近所に行きつけを作ると危ないよ、と言われてはいたものの、やっぱり近ければ近いだけ便利で。

どんな店員さんが働いているのかを何となく把握出来てしまうくらい、すっかり常連になっていた。

「温めますか？」

『いえ、大丈夫です』

「お箸は、」

『あ、お願いします』

金曜日の仕事帰り。遅くなったし、これから夕食を作る気になんてなれないし、何か買っていこう、とまたいつものようにコンビニに立ち寄った。

今日のレジ担当は、結構な頻度で見かける、ガタイの良い、見たところ大学生くらいの、男の子だった。

「…帰りはいつもこのくらいなんですか？」

『あ、はい、…はい？』

適当に相槌を打っていたら、流れで投げかけられた接客と全く関係の無い質問に、普通に答えてしまって。

驚いて顔を上げると、何故かどこか嬉しそうな顔。

「いつも来てくださいますよね」

『…あ、あ～、はい、まあ』

「お仕事忙しいんですか？」

『……いえ、そういう訳じゃ』

こっちが認識してるんだから向こうも私を常連として知っててもおかしくない、というのはまあ、分かる。でもこうして改めて言葉にされると、正直、怖い。

あまりこっちの情報ばかり話したくないな、と愛想笑いと共になんとなくで言葉を返していると。

「…すみません、引きました？」

『え？』

「怖がらせるつもりなかったんですけど、」

私の微妙な反応に気づいたのか、途端に慌て出す彼。

「ずっと気になってたんです
その、連絡先とか、聞くのは、…だめですか？」

その言葉を受けて、初めてきちんと彼の顔を見た。

ちょっと、かっこいいかもしれない、なんて。ついさっきまで怖がってたのに、現金なやつ。

「…すみません、やっぱり無理ですよね」

感情が顔に出やすいタイプなのか、私が黙ったままでいることで不安になったらしく、しゅんとしてしまった彼。その様子がまるで叱られたわんこみたいで、かわいいな、なんて思ってしまって。

『…じゃあ、名前とか、聞いてもいいですか？』

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