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確かにあからさまに引いちゃってたかもしれないけど、まさか直接的に聞かれると思っていなくて。
『え、……あの、ちょっとだけ？』
「…やっぱり？ごめん、」
素直に謝られるなんて、もっと思っていなくて。さっきとは打って変わったしおらしい様子に、なんだか私が悪いことをしたみたいな気分になってしまう。
『あの、…でも、きっと慣れます、そのうち』
「…ふ、Aちゃん、やさしーね」
目元をくしゃっとさせて笑う顔は、なんだか無邪気な子供みたいで。男の子に対して、ちょっとかわいいかも、なんて思ってしまった自分に驚いた。
「どう？ A、友達出来そう？」
『う〜ん、…出来そう、にない、かな』
ようやく訪れた休み時間。これまでこういう時に席を立つことはほとんどなかったけれど、今日ばっかりは耐え切れなくて、陽菜ちゃんのところに逃げて来た。
椅子に座る陽菜ちゃんの隣にしゃがみ込むと、何故か頭を撫でられた。陽菜ちゃんは時々私のことを幼稚園児か何かと同じように接してくることがある。嫌じゃないけど、どうしていいかは未だに分からない。
「でもずっと田中と会話してたじゃん」
『会話、って言うのかな、あれ…』
ほとんど一方的に話しかけられてただけのような気がするけど、陽菜ちゃんから見ると、積極的に交流を深めている様に見えた、らしい。
「話しかけられて何か返したら、もう会話だよ」
『…うん、そっか』
「なに？なんか気になる？」
『……や、難しそうな人だな、と思って』
普段なら関わろうともしないタイプの人だったから、どう接したらいいのか、さっぱり分からなかった。
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作者名：春野菜
| 作成日時：2020年7月23日 20時
