４１ ページ41
〜〜〜
そして迎えた、遠足の日。
キャンプ場に向かうバスの中は、出発前から既に、お菓子が回ってきたり、歌い出す人がいたり、トランプを誤ってばら撒く人がいたり、とにかく騒がしい。
私たちの班は入って右手側の奥の座席で、眠るにはもってこいの配置だったけれど、この状況を見るに、そんなのんびりした時間は無さそうだった。
「…なんかさ、１人増えてね？」
「何それ全然怖くねぇから、まだ昼間だよ」
「いやマジで、マジの方で」
「…あ、わたし？」
ここへ来てようやく上がった疑問の声。
実は、前のグループではあまり馴染めていなかった、という凛花ちゃんを、新たに私たちのグループに招き入れていた。おかげで、拭い切れなかった男女比の不公平感が、多少ではあるものの緩和された。
「ウチらが呼んだの、ね」
『うん、…いいよね？』
「いや全然いいんだけど、言っとけよ」
「そうだよ、俺らが酷い奴みたいじゃん」
「はーい、以後気をつけまーす」
「陽菜はもうちょっと気持ち込めれる？」
ちなみに事前に伝えてあったのは、先生と凛花ちゃんの元のグループの子たちだけ。そこに関しては、申し訳なかったと思っていなくはない。
そんなこんなでしばらくバスに揺られ、ちょっと眠たくなってきたかも、というところでようやく到着。
班の調理器具や材料の入った荷物たちをバスのトランクルームから引っ張り出して、さあ持っていくぞと意気込んだところで、北斗くんと樹くんが。
「…それ俺らが持つよ、貸して？」
『…、あ、ありがとう、でも』
「女の子は無駄なもの持たなくていいの、はい」
持てないほど重たい物じゃないから、と断りはしたものの、結局ほとんどを持っていってくれて。すっかり身軽になってしまったから、なんだか落ち着かなくて。陽菜ちゃんに駆け寄り腕にくっついてみる。
「Aちゃん、見てたよ？」
「…ね、ちょっとドキッとした？」
『……してない』
「嘘ばっかり」
『…嘘じゃないよ』
「A、かわいい」
「かわいい〜！」
陽菜ちゃんと話したあの日から、それまでは気にならなかったはずなのに、どうしてか北斗くんと樹くんに対して、変に意識してしまうようになっていて。
２人はそれに気づいてからというもの、何かにつけてからかってくるようになったから、私は、余計にどうしたらいいのか分からなくなってしまっていた。
〜〜〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1132人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春野菜
| 作成日時：2020年7月23日 20時
