cafe au lait (ページ5)

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「……あ、急に、ごめん」

ばっちり目が合った途端、その人は気まずそうにそう言うと、立ち上がってどこかへ行ってしまった。どうやら自分の席ではなかったらしい。安心すると同時に、なんだか拍子抜けだった。ほんの少しだけ、本が好きな人と話せるかも、と期待したせいだと思う。

「A、北斗と知り合いだったの？」

『…え、誰？』

「なんだ違うんだ、意外な繋がりと思ったのに」

『慎ちゃんの知り合いなの？』

「うん、友達、だから驚いてるの」

さっきの人は、松村北斗くん、というらしい。

北斗が女子に話しかけるのも珍しいし、Aが男子と話してるのも珍しいから驚いた。なんて、慎ちゃんが本当にびっくりしたように言うから、私も気になって少し目で追ってしまう。

初めは静かそうな人だと思ったけど、そうでもないらしかった。クラスの真ん中で盛り上がっている派手そうなグループに躊躇なく入っていく。松村くん、の登場でさらに会話が弾んでいるらしい。さっきはもっと静かで大人しい印象だったから、意外だった。

「北斗は、ああ見えてやさしいよ？」

『え、…どうしたの突然』

「Aの友達候補かなって」

『…新しい友達なら、女の子がいいなぁ』

…でも、本好きの友達は、ちょっと欲しいかも。

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