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〜〜〜
「…話してくれてありがとう」
『ううん、こちらこそ、聞いてくれてありがとう』
「ていうか陽菜、ちょっと、樹のこと…」
「…慎太郎、今度しばいといてよ」
「うん、そうする…」
『え、待って、どうして？』
話し終わる頃にはとっくに日が落ちていて。それでもまだ話し足りない、ということになって、今日は陽菜ちゃんの家に泊めてもらうことになった。
慎ちゃんは、俺だけ仲間外れだ！なんて言って寂しがって拗ねていたけど、陽菜ちゃんと一緒になって、女同士で積もる話もあるの！と笑った。
何気ないそのやり取りが、嬉しかった。
「…そうだ、これだけ、言っとかなきゃ」
『…なに？』
「私も慎太郎も、Aのこと
嫌いになるなんて絶対ありえないからね」
やっぱり２人には敵わない。
私がずっと欲しくてたまらなかった言葉を、こんなにも簡単に言ってのけてしまうんだから。
「Aのピアノ、確かに大好きだけど、
前提としてAのことが大好きだからだよ」
もっと早く話してしまえばよかった、なんて。喉元過ぎればなんとやら、あんなに悩んでいたのが嘘みたいに、気分が軽くなっていた。
『…おじゃまします』
「…どうぞ、座ってくださーい」
慎ちゃんと別れて、陽菜ちゃんの部屋でまた並んで座る。ここに来るのは久しぶりだったけど、昔と変わらず落ち着く空間のままで。
『…ふふ、なんか、なにこれ？』
「わかんない、むずむずするね」
さっきあれだけ洗いざらい話をしてから、改めて顔を突き合わせたら、どうしてもちょっと照れくさくて、どちらからともなく笑い出してしまう。
「……で、A」
『うん？』
「正直なところ、どっちがタイプなの？」
『……う、ん？』
「も〜、樹と北斗のことだよ！」
〜〜〜
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作者名：春野菜
| 作成日時：2020年7月23日 20時
