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〜〜〜
「俺たちがAと嫌々友達やってると思ってる？」
『…それは、』
「そんな訳ないでしょ、一緒に居たいから居るの」
『……うん』
「Aが最近ずっと何か悩んでるの、
…俺らが気づかない訳ないと思わない？」
『…、そう、だね』
「Aも俺らが悩んでたら、すぐ気づくでしょ」
『…それは、もちろんだよ』
「でも、無理には聞き出せない、話したくないのに
話させちゃうかもしれないから、…じゃない？」
『……うん』
「俺たちの気持ちも、それと一緒だよ」
慎ちゃんはそこまで言うと、ようやくさっきまでの真面目な顔を崩して、笑ってくれて。
昔から変わらない優しい手で、私の頭を緩く撫でた。
『…慎ちゃん、ありがとう』
「…」
『…なに？』
「いや、なんにも？」
慎ちゃんのおかげで決意が固まった。
慎ちゃんにも聞いて欲しいから、と帰ってきたばかりでそのまま、陽菜ちゃんに連絡をして家を訪ねた。
「親もいるから、外でいい？」
３人で並んで、昔よく遊んだ公園まで歩く。
私の緊張が伝わってしまっているのか、２人も何も話さないから、いつになく静かな空間だった。
公園のベンチに座って、話し出そうと口を開くものの、頭の整理が追いつかなくて、どこからどう説明したらいいか分からなくて。
「…ゆっくりでいいよ、ちゃんと聞くから」
でも、陽菜ちゃんの顔を見ると、いつもの優しい表情をしていて。慎ちゃんも同じく笑顔で、黙って頷いてくれて。その光景に、これ以上無いほど安心出来た。
それから、間違いや誤解が無いように、丁寧に、ここ最近の出来事を、秘密のことと恥ずかしくて言えないことを覗いて、全て包み隠さず話した。
ピアノのこと、人付き合いのこと、北斗くんや樹くんとのことまで。ずっと話せなかったこと全部。
自分のことを話すのは苦手だと思っていたのに、ひとつ言い出すと止まらなくて。本当はずっと、２人に聞いて欲しかったんだ、と気づかされた。
〜〜〜
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作者名：春野菜
| 作成日時：2020年7月23日 20時
