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〜〜〜
「戸田さん、…ちょっといい？」
その日の帰り、クラスの女の子に呼び止められた。
怒っているような、固い表情。心当たりは無いけど、何かやらかしてしまっていたのかな。
心配そうな陽菜ちゃんに、靴箱のところで待ってて、とお願いして、その子に向き直る。こんなことは初めてで、なんとなく、良くない予感がしなくもない。
確か、城田凛花ちゃん、だったかな。自信は無い。
「…田中くんとはどういう関係なの？」
まさかの展開。発せられた言葉には、驚いたというか、若干拍子抜けしてしまった。
だって、もっと何か、私のせいでとんでもないことになったとか、そういうのを想定していたから。
『…ただの友達、だよ』
私が思ってるだけで向こうが友達として認識してくれてるかはわからないけど、と心の中で付け加える。
友達の定義はいつまで経ってもよくわからない。
「……この間、私、見ちゃったの、
戸田さんと田中くんが手を繋いで歩いてるところ」
…それに関しては、心当たりしかなかった。どうやらあの日の出来事を、とんでもない方向に誤解をされてしまっていたらしい。
本当にただの友達で、手を繋いでいたのは私がぼーっとしてて危なかったから、と事細かに説明すると。
「あ〜〜、よかったぁ…」
『え？』
「ごめんね、急に話しかけちゃって…
ずっとどうしても気になってて、我慢出来なくて」
『あ、ううん、全然…』
「でもよかった、戸田さんとは
普通にお友達になりたかったから、安心した」
ウェーブがかったふわふわの髪の毛を揺らして、堰を切ったように話し出した城田さん。柔らかい雰囲気とは裏腹に、明るくて、口がよく動く。
「ねえ、私たち、友達にならない？」
『…え？ あ、うん、』
「Aちゃんって呼ぶね、私は凛花でいいよ」
『…じゃあ、凛花ちゃん』
城田さんのくるくる変わる表情が、声色が、かわいいな、羨ましいな。なんて思いながら聞いているうちに、私たちはいつの間にか友達になったらしい。
これがコミュ力の高さ、ってやつかな。
「…ここだけの話、私ちょっとだけ、
田中くんのこと気になってるの、…２人の秘密ね？」
女の子の友情は、私が思っていたよりもずっと、ややこしくて、難しいのかもしれない。
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作者名：春野菜
| 作成日時：2020年7月23日 20時
