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〜〜〜
「……あれ、これ、ペンの跡？」
その瞬間、私は頭が真っ白になって、北斗くんの手を払ってしまった。ぱしん、という乾いた音ですぐに我に返って、血の気が引いたのが分かった。
『っごめん、ごめんね…！』
「…あ、いや、俺の方こそごめん」
『でも私、結構力入ってたから、』
「女の子の力だよ、全然平気、
それよりほんとごめん、無神経だった…」
『ちが、…ちがうの、私が』
自分で自分がつくづく嫌になる。泣いてしまいそうだったけど、そうすればこれ以上に困らせてしまうのが目に見えているから必死に我慢する。
『私が１人で勝手に、いっぱいいっぱいになってる
だけだから、北斗くんはなんにも悪くないの』
北斗くんは怒るどころか、気遣い、謝りさえしてくれるから、罪悪感と申し訳なさでいっぱいで余計なことまで口走ってしまって。心配そうな視線に耐えられなくて、俯いたまま顔が上げられない。
「……その、無理にとは言わないけど、
何を悩んでるのか、教えてくれない？」
『…』
「…俺じゃ頼りない、かな」
『そんなこと、…ない、けど』
「…でも、その様子だと、
陽菜とか慎太郎にも言えてないんじゃない？」
『それは、……うん、』
恐る恐るというように、丁寧に言葉を選んで話してくれる北斗くん。落ち着いた調子の声が荒立った心に染み渡るようで、心地よくて。
その優しさについ甘えそうになるけれど、昨日の樹くんとのことを思い出すとやっぱり踏ん切りがつかない。北斗くんは黙って私の答えを待っている。何か、何か言わなきゃいけない、けど言葉が出てこない。どうしようかと途方に暮れて黙ったままでいる、と。
「…あ、Aちゃん、見っけ」
〜〜〜
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作者名：春野菜
| 作成日時：2020年7月23日 20時
