【白鳥沢】また新しいマネ来た思たらガチのぶりっ子やった。

温もり ページ3

宇佐美side








嘘だと、冗談だと、思った。



Aさんとドリンクを運びにいこうとしたら、古見さんに無理やり奪われた。


その時に私が痛がった理由は、古見さんの付け爪らしきものに引っ掻かれたから。

こういうことは、前からあった。古見さんに限らず。



Aさんのことが好きな、女の先輩たちに暴力を振るわれるなんて日常茶飯事だった。



でもAさん達には隠し通したかった。





でも、この時チャンスだって。思った。




Aさんなら、助けてくれるって、思ってた。






庇ってくれるって。ちょっとした傷でも、尋常じゃないほど心配してくれる、Aさんならって。





その持ってる籠を全部古見さんに押し付けて、私を保健室に連れてってよ、なんて思ってた。




そんな思いは、儚く散った。




宇「…はは、私、なんで泣いて…」









仕事、しよう。






Aさんに、よろしくなって言われたんだ。




例え暴力を振るう酷いAさんでも、冷たいAさんでも、Aさんに頼まれたことは事実だから、私はAさんに頼まれたことはなんでもするつもり。



日本語がおかしくなっていくのがわかる。


思考回路がゆっくりと働き、動く気力すらない。








暫くへたりと地面に座っていたら、扉が開いて光が差し込んできた。





逆光で誰が開けたのかがわからない。







この際誰だっていい。あの人を、今すぐ追い出して欲しい。



あの人がいる空間に私もいたら、吐き気がして、耐えられない。







私自身が鬱になってしまってもあのひとのせいにするだろう。




意識が遠のくのが分かった。








それと同時に、温もりも感じた。

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