身分違いでも恋をする。 (ページ4)

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弐話ページ4

それから、母上や弟妹の朝食を配膳し、後片付けも終え、屋敷の掃除や洗濯物も取り込み、一旦やるべき事は終わった。

今日は日用品が少し不足しているので町へ出て買いに行こうと思う。

私は朱色の桜模様の浴衣に濃紺の袴、少し踵の高い編み上げたブーツを履き、薄く紅を引いた。

そしてお嬢様結び、と言われる髪型に簪を刺した。

「よし！」

お財布も持った。控え書きも持った。

私は正面扉から出ずに自分の部屋の縁側から外に出る。

玄関から本当は出たいけれども母上に禁止されている。

「産屋敷の一員では無い貴方は縁側からからでも出なさい。」

ここにやって来て間もない頃、きつくそう言われた。

当時は不服だったけれど今となってはどうでも良い。

そもそも母上は養子である私をよく思っていないのだ。仕方がないか。

そんな事を考えていると蝶の髪飾りと綺麗な桜色の髪の毛のお友達を見つけたので声をかけようとの彼女達の元に歩き出しだした。

「しのぶ！蜜璃！」

私は手を振りながら呼んだ。
2人は振り返ってほほえみながら手をふり返してくれた。

「Aちゃん！今からお買い物？」

「そう！2人は？」

「先程甘露寺さんとの合同任務の報告をお館様にしていたところです。私はこれから胡蝶屋敷に戻ります。」

「私は伊黒さんと甘味処に行く約束をしてるの！」

そういい軽く雑談を交わしたあと2人と別れた。

2人は私が養子であることは知っているがそんな事を気にせず仲良くしてくれている。

そろそろ此処を出なければ。そう思って歩きだそうとすると、ふわりと私を何かが包み込んだ。