８１話 ページ37
桜哉said
「演劇部、夏合宿っすーーー！！！」
「安田うるさい。」
大会本番を一週間後に控えた俺たちは、これから2泊3日の合宿に臨もうとしていた。
この合宿の目的は、役者の稽古はもちろん、普段練習が出来ない音響や照明の練習をするということもある。
今までぶっつけ本番状態で大会に望んでいた裏方陣から”練習の機会がほしい”との意見があり、この合宿が実現したらしい。
だから、俺たちがこれから3日間滞在する施設の舞台には簡易ではあるが照明や音響の機械が揃っている。
「はい、じゃあとりあえず各自部屋に荷物置いてきて。それから今日の流れ説明するから。」
初めての合宿にテンションが上がる部員たちをなだめつつ、赤澤先生がそう指示を出す。
「如月先輩、僕達って何号室っすか？」
「･･････そういやお前と同室だったな。」
「何で嫌そうなんすか！ひどいっす！」
「だって絶対うるさいだろ･･････夜とか静かに寝かせろよ。」
「えー！せっかく合宿なのに恋バナしないんすか？」
「しない。」
「菜々花先輩とのこと聞きたいっす！」
「ちょっ、声でかい！」
「こないだ衣装買いにデートしてきたんすよねー？その話まだ聞いてないっすー！」
「お前っ、楯野に聞こえるだろ･･････！」
・
荷物を部屋に置き再び集合した俺たちは、赤澤先生からの
「全員で基礎練やったあと、裏方は施設の方から機械の説明受けて。役者は稽古。」
──という指示に従い、基礎練と呼ばれるストレッチや発声練習をしていた。
「･･････。」
隣で真面目に腹筋をしている楯野に目をやる。いつもは下ろしている髪を、今日はひとつに束ねていた。
上体を起こす度にぴょこぴょこ跳ねる真っ黒な毛先をつい目で追う。
「楯野、髪･･････。」
「ん？あ、そうそう、合宿中はいっぱい動くからポニーテール！どう、かわいい？」
俺をからかうように微笑みながらそう言って、首をかしげる。
「･･････かわいい。」
「えっ。」
「え？」
「あ、いや、桜哉くんがかわいいとか言ってくれると思わなくて･･････びっくりしちゃった。」
「･･････お前が聞いたんだろ。」
続く (更新停止中)
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作者名：鈴蘭姫 x他1人 | 作成日時：2017年3月19日 10時
