７１話 ページ27
菜々花said
「･･････。」
私は今、音響の候補を聴いて曲選びを手伝いながらある一点に視線を送っている。
見つめる先は──
「桜哉先輩違います！こうですよこう！」
「あぁ、うん。」
ミュージカルのダンスを練習する桜哉君と、頼んでもないのに教えている愛ちゃん。
ってか、さっきから馴れ馴れしすぎだしボディタッチ多くない!?今すぐ引き剥がしたい!!
･･････まあ、せめてもの救いは桜哉君があからさまに迷惑がっている事だろう。
これで少しでも桜哉君がデレデレしているような事があったら･･････。
私は本当に、桜哉君もろども愛ちゃんを呪い殺していたかもしれない。
「先輩背中伸ばしてください！ダンスに猫背は駄目ですよ！」
そう言って、ここぞとばかりに桜哉君の背中をバシバシ叩く愛ちゃん。
──を、真っっっ黒な心で見つめる私。
今思ってる事を全部言ったら、マフィアのボスでも泣かせられる気がする。
桜哉君が嫌がってるのはわかってるけど、こんな光景をこれ以上見るなんてお断り。
もうそろそろ、終わらせちゃっていいよね？
「桜哉先輩汗かいてますよ！タオル使ってくださいね！」
あーもう、明日からいよいよ夏休みだっていうのに、愛ちゃんのせいで気分は──
「ねえ、どうだった？この曲。オープニングに合いそうだと思って･･････。」
「最悪。」
「あれ、駄目だった？いい感じだと思ったんだけど･･････。」
「ごめん嘘！オープニングにピッタリだね。」
「え、何それ。今嘘つく必要あった？」
「気にしない気にしなーい。」
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作者名：鈴蘭姫 x他1人 | 作成日時：2017年3月19日 10時
