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６４話 ページ20
日向said
急に部活がなくなって、早く帰れることになった。
私が所属する吹奏楽部は結構厳しくて、部活が無いなんて事はめったに無い。
こんなに明るいうちに帰るの久しぶりだなーなんて思いながら、のんびり帰っていた。
「あ、すみません。」
そんなわけでぼんやり歩いていたら、人にぶつかってしまった。
「いえ、大丈･･････あ。」
長身猫背に、メガネの奥の無気力な目。
ぶつかったのは、親友の想い人だ。
「･･････あ。」
向こうも私に気づいたらしいが、だからと言って2人で話すような仲でもない。
「･･････どうも。」
「･･････どうも。」
一応挨拶を交わして、すれ違い──
「ねえ。」
「え？」
すれ違いかけたら、なんと向こうから声をかけてきた。
私と世間話でもしようっていうんだろうか。そんな社交的なタイプには見えないけど。
「･･････楯野にはさ。」
「楯野には、明るい奴の方が似合うよね。」
「はぁ？」
菜々花？明るい奴？
菜々花といえば、この間喋った時あんな事言ってたっけ･･････。
“あのね日向！後輩の男の子がすごい懐いてくれて、可愛いんだ〜！”
そういえば、クラスの女子も･･････。
“イケメンで明るくて超可愛い1年生の男の子が演劇部に入ったらしいよ！”
･･････あー、なるほど･･････。
「如月君って、意外と女々しいのね。」
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作者名：鈴蘭姫 x他1人 | 作成日時：2017年3月19日 10時
