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59話 ページ15

桜哉said



「あ、如月先輩こんちわ!」


「・・・・・・どうも。」


無駄に大きな声で挨拶してきたのは、部活の後輩の安田。ちなみに下の名前は忘れた。


突然だが、俺はこの安田の事があまり好きではない。


元来、あのカーストが高そうな人間に苦手意識がある俺だが、それだけが理由ではない。


まず、アイツに1番言いたい事。


“菜々花先輩”って何だ?


楯野先輩でいいだろう。下の名前で呼ぶ必要あるか?俺だってまだ楯野呼びなんだぞ。


全員を下の名前で読んでいるならまだしも、俺は安田に“如月先輩”と呼ばれている。


つまり、意識して菜々花先輩と呼んでいるという事だ。何か下心があるとしか思えない。


楯野が1年生担当で最近よく一緒にいるからって、親しくなった気でいるんだ。


楯野はあくまで1年生担当だから安田に構っているのであって、


決して安田という人間に興味関心があるわけではないんだ。


・・・・・・たぶんだけど。





「お・う・や・君!」


「さっき、せっかく晴人君が挨拶したのにすごい冷たく返したでしょ!」


「挨拶はしっかりねって教えてるんだからちゃんとして!先輩なんだからね!」


俺より少し遅れて楯野が教室に戻ってきて、席につきながら説教を始めた。


「はいはーい。」


「絶対わかってないでしょ・・・・・・。」


「てかさ、晴人君って安田の事だよね。」


いつものように適当に流して、いつものように違う話をして誤魔化す。


「え?うん。」


「・・・・・・。」


「それがどうかしたの?」


「・・・・・・。」


「・・・・・・桜哉君?」


「何で。」


ああ、こんな事、言う気なかったのに。


まるで嫉妬してるみたいじゃないか。


「何で、下の名前で呼んでんの。」


「・・・・・・え。」


「まあ、ちょっと思っただけだけど。」


「そ、そっか。」

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作者名:鈴蘭姫 x他1人 | 作成日時:2017年3月19日 10時

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