借金返済のためにブラック本丸を引き継ぐことにした。２【刀剣乱舞】 (ページ5)

今日:8 hit、昨日:12 hit、合計:59,646 hit

３２．腹が減っては戦は出来ぬページ5

各々思うことがあったのか口を閉ざして静まり返ったこの場に、ぎゅるるとした情けない小さな悲鳴が響き渡る。

監査官さんたちは顔を上げると発生源である私の方へ顔を向けた。

朝起きたばかりとはいえ、まさかこのタイミングで腹の虫が鳴るだなんて思わなかった私は今恐らく顔が真っ赤になっているか目が泳いでいるかしているのだろう。

「すみません……」

「あはは、気にする必要ないよ。僕らはあまり食事を重視しないから失念していたや、ごめんね。」

軽く朝食作ってくるから、と燭台切さんは先に本丸の方へと戻っていく。

薬研くんが大広間の方まで案内してくれるとのことで私も彼についていこうとするが、監査官さんがその場に留まったまま動こうとしないため思わず声をかけた。

「監査官さんも朝ごはん食べていないでしょう？私が偉そうに言うのも何ですが、休憩くらいとった方が良いですよ」

「えっ……ああ、そうだね」

食べるという発想がなかった、みたいな変な驚き方をした監査官さんだったが、そのあとは何も言わず私と共に薬研君の後を追った。

大広間は私が寝ていた部屋よりもゲートからすぐ近くにあり、天井の電灯は壊れているようで中は非常に暗い。

障子を開けて申し訳程度の外からの光を取り入れることで、何とか部屋の様子を窺えるくらいには明るさを取り戻す。

本来は刀剣男士たちが集まって一緒に食事をしたり話し合いをしたりするために使う場だろうから、部屋自体はどこぞのお城を彷彿させるほど広い。

しかし、じめじめとした暗い空間は解放感を感じさせず、畳もかなりボロボロになっていてところどころ腐りかけていた。

太陽光の当たる場所だからか庭に近い畳は幾分かマシな状態であり、障子の近くに座っていた数名の少年たちが私たちを出迎える。