借金返済のためにブラック本丸を引き継ぐことにした。２【刀剣乱舞】 (ページ22)

今日:20 hit、昨日:12 hit、合計:59,658 hit

４７．好奇心も程々にページ22

「第二に、中立や放任派。俺はどっちかというとここに該当するだろう。別に人間を嫌ってはいないけど、好き好んで交流するつもりもない。害を与えるつもりなら相応のお返しはするが、何もしてこないならこちらも関与はしない……まあ、中には心の整理がつかず、引きこもっている刀もいるがな」

鶯丸さん曰く、本丸にいる大半の刀剣男士はこの部類に当てはまっているらしい。

私はまだ全部の部屋を見ているわけではなかったので知らなかったが、もう十何振りかは男士がいるようであった。

「そして、審神者との交流に積極的な者。本丸に来て日が浅い刀や、あとは短刀や脇差たちなら、君からの申し出にも比較的対応してくれるはずだ」

「……で、中立派を自称するお前が、なぜ彼女に接触を図ろうと？」

硬い態度を保ち続ける山姥切さんに気分を害された様子は見せず、むしろ面白いとばかりにケラケラと笑って鶯丸さんは質問に答えた。

「さっきも言っただろう。俺は、交流する意思を見せる男士を邪魔するようなことはしないと」

「……つまり、親交を深めたい刀剣男士の仲介役を担うということか？」

「まあ、そんな感じだ」

ついてこい、と私の手を取って鶯丸さんはスタスタとどこかへ歩いていく。

事情を聞かされてしまったので断りづらく、私は素直に彼の後を追い、山姥切さんも不機嫌な表情を浮かべたままそれに続いた。

長い廊下をしばらく歩き、曲がり角のところで急に歩が止まる。

口に人差し指を当て静止を指示した鶯丸さんは、そっと角の先の光景を確認するように私へ促した。

言われた通り足音も立てないよう慎重に動き、少しだけ顔を出して向こう側の様子を観察する。

視線の先にいたのは、黒髪の少年だ。

パッと見た感じだと私より少し年上くらいの容姿で、人間でいうところの高校生くらい。

縁側に寝転んでいたので、てっきり昼寝でもしているのかと思い、つい私は顔を引っ込ませるのを忘れてそのまま見続けてしまった。

「あっ……」

ごろん、と寝返りを打った彼は私たちの方へと身体を向ける。

今更隠れようにも既に手遅れで、彼の瞳に私の姿が映ってしまった。