借金返済のためにブラック本丸を引き継ぐことにした。２【刀剣乱舞】 (ページ20)

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４５．本音の読めない笑顔ほど怖いものはないページ20

「彼女が必要だというなら、きちんと事情を説明してくれないかな？」

「……ああ！そういえば言い忘れていたな！」

すまなかった、とあまり罪悪感のない様子で謝罪の言葉を返し、鶯丸さんはようやく私を引っ張っていくのをやめた。

行動の読めない彼に対し山姥切さんが警戒心を解くことはなく、ギュッとお気に入りのぬいぐるみでも抱えているみたいにして私を腕の中に閉じ込めている。

この人、こんなにも過保護であっただろうか、と疑問に思いつつも大人しく山姥切さんの中におさまっておくことにして、鶯丸さんの発言を待つ。

「君は、この本丸の刀剣男士に対してどのように接するつもりでいる？」

「どのように、ですか……」

「ああ、別に難しく考える必要はない。これから先、君という人間を信頼するかどうか。それを考える上での要素の一つとして知っておきたいだけだ」

簡単なようで、想像以上に返事に困る質問だった。

ここがまだ普通の本丸ならまだしも、もれなく全員がトラウマ持ちの要カウンセリングなわけで、いわゆる「言ってはいけない言葉」「やってはいけない行動」なんかを知っているわけじゃない。

都合の良いその場しのぎの内容を考えても後々面倒なことになるだろうし、かといって素直に自分の考えを伝えてしまってもどこかで地雷を踏んでしまうかもしれないのだ。

「……あの、私は刀剣男士や日本刀について専門的に学んだ身じゃないので、正しい作法なんかは全然知りません」

「ああ、そうだろうな」

「なので、その、貴方たちが人ではないことを知っているのですが……はい、その、失礼なのは承知ですが、私からしたら貴方たちは人間にしか見えません」

「……ふむ」

「えっと、勿論最低限の礼儀は払いますが、付喪神とか日本刀とかそうやって人ではないと割り切って接することは私には無理です。多分、しばらくは貴方たちのことを人間として扱い、敬意を示します」

「…………ほう」

一応、自分の考えは全部伝えたつもりであったが、鶯丸さんはジッと見つめてくるだけで何も発さない。

もしかしてどこかで絶対に言っちゃダメな発言とかしてしまったのだろうか。

背中に伝わる山姥切さんの熱で全身の震えや鳥肌は防ぐことができたが、緊張から流れる冷や汗だけは抑えることができなかった。