借金返済のためにブラック本丸を引き継ぐことにした。２【刀剣乱舞】 (ページ16)

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４３．いっぱい食べる君が好きページ16

反応はそれぞれ三者三様。

薬研くんや厚くんはお互い顔を見合わせて目を大きく見開かせ、今剣くんはボロボロと真っ赤な瞳から涙を流している。

骨喰に至っては表情を変えずに黙々と箸を進め、いつの間にか私たちを追い越してあっという間にお椀の中を空にしてしまった。

「……そんなに喜んでくれるなら、もっと早くこうしておけば良かった」

二杯目を要求する骨喰くんのお椀を受け取りながら、燭台切さんは小さな声で呟く。

それは彼らの嬉しそうな表情を見れたことに対する喜びと、なぜもっと早いうちに気付けなかったのかという悔しさが入り混じった、複雑そうな声色だ。

「前任が本丸から逃げて以降、厨には全く足を運ばなくなっていたけど……うん、やっぱりこうして美味しそうにご飯を食べている表情を見るのは、作り甲斐があるよね」

「分かります。私も、弟たちが自分の作った料理を食べて喜んでくれる姿を見るのは、すっごく嬉しかったですから」

「本当……鶴さんや伽羅ちゃんたちとも、一緒に食べたかったな……」

本丸から消えてしまった昔の仲間を思い出しているのか、燭台切さんは庭の方をじっと眺めて何かを考えこんでいるようだった。

今はそっとしておいてほうが良いだろうと判断し、私は薬研くんたちの方へ顔を向ける。

「強引に誘っちゃいましたけど、大丈夫でしたか？」

「むしろこっちが感謝するほどさ……ありがとう嬢ちゃん。俺っちの兄弟たちが来た時には、またこうやって美味い飯を振るってやってくれ」

「何ならその時は俺たちも準備を手伝うぜ！なあ、ばみ兄！」

厚くんに声をかけられた骨喰くんは、食事に夢中で声こそ出さなかったが私を見て軽く頷く。

ぐずぐずと鼻をすすって涙の止まらない様子の今剣くんも、着々とお椀の中身を口の中へと放り込んでいった。

(こうして薬研くんたちの姿を見ていると、現世に置いてきた弟たちを思い出してしまうなぁ……一番信頼できる親戚に何とか預かってもらえたけど、早めに生活費とか送れるように頑張らないと……)

鬱屈として重苦しさを覚えてしまう大広間は、いつの間にか短刀たちの明るい表情と笑い声に包まれていた。