借金返済のためにブラック本丸を引き継ぐことにした。２【刀剣乱舞】 (ページ14)

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４１．親戚のおじさんって妙に絡んでくることあるよねページ14

「そうしてくれると助かる……厨だがこの廊下を曲がった先にある、先に行っててくれ」

やはり兄のことが気にかかったのか、薬研くんは厨の場所を私たちに伝えると一期一振の通った道を追うようにして走っていった。

「……だそうです、行きましょうか……えっと、」
「山姥切で良い」

「はい、山姥切さん」

ずっとフード越しで彼とは会話していたので、改めてこうして向かい合うと初対面に戻ってしまったような緊張感が訪れる。

山姥切さんも山姥切さんで落ち着かないのか、さっきまであれほど堂々と一期一振と睨み合っていたというのに、一転してキョロキョロと視線をあちらこちらに移動させ私を視界に入れようとしない。

「も～なんでそう急に他人行儀になっちゃうんですか～」

「……君は俺を人間だと思って信用したんじゃないの」

「まあ驚きはしましたけど、軽蔑はしませんよ。どちらにせよ、助けてくれたのは山姥切さんなんですから」

ほら、行きましょうよ。

普段よりも少し声色を明るくし、山姥切さんのマントをぐいぐいと引っ張って私は厨の方へと誘導する。

私が彼に接触したことに驚いたのか、ようやく山姥切さんは私の方へと顔を向けて不器用な笑顔を浮かべた。

厨では既に燭台切さんが朝食の準備に取りかかっていた。

味噌汁でも作っているのか、鍋からは食欲をそそる良い匂いがその場の空気を染め上げて、私の鼻孔にもそれらは辿り着きお腹に力を入れていなければ再度音が鳴りそうだ。

燭台切さんは私たちが来たことに、特に山姥切さんの存在に驚きを隠せず、手に持っていたお玉を落として大きな声を上げる。

「き、君って監査官くんだよね……」

「あー……はい、すみません。立場上、正式な就任先以外では姿を見せないのが規則でして……」

「山姥切さんって燭台切さんとはお知り合いだったんですか？」

「知り合いというかまぁ……ものすごく遠い親戚みたいなものかな……」

「なんでそんなにも不愛想なの？系統は違っても同じ長船なんだからさ、仲良くしようよ」

くつくつと煮込んでいた鍋の火を止めると、燭台切さんは山姥切さんの方へと近寄ってわしゃわしゃと彼の頭を撫でる。

山姥切さんは恥ずかしそうに軽く頬を赤らめているが、嫌そうな表情ではない。

親戚のおじさんに絡まれている子どものような光景で、彼らのやり取りを見ている私も何だか微笑ましさを感じていた。