借金返済のためにブラック本丸を引き継ぐことにした。２【刀剣乱舞】 (ページ12)

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３９．銀雪の君ページ12

オールバックにしてまとめている美しい銀の髪が露わになり、続けて監査官さんは目元の黒いマスクを外し、私は出会ってから初めて彼の素顔を拝むこととなった。

予想以上の端正な顔立ちだ。

彼の美しさを表現しようにも生憎私は該当する言葉を脳内に持ち合わせてはいない。

サラサラとした白銀の髪の毛に吹き出物一つない綺麗な肌。

曇りのなく他に何も存在しない雪景色のような儚さの中に、晴天の澄んだ空のような鮮やかな青が二つ、何ら歪みもなくかんばせに配置されていた。

可愛いとか、カッコいいとか、男らしいとか、人間の容姿を描写する言葉は色々とあるが、彼の場合そういった凡庸的な表現では追いつかない衝撃を私に与えてきたのだ。

とにかく顔が良い、この一言に尽きる。

監査官さんはパッと見た感じだと大学生くらいの年齢に見えるが、実際の大学生にこんな容姿の男はいないし恐らく今後も大学へ入ったところで出会えない。

燭台切さんも、薬研くんも、一期一振さんも、次々と新たな美丈夫と遭遇するたびにこれを超える男は現れないだろうと感じているが、再び更新された。

「……打刀、山姥切長義。備前長船の刀工、長義に打たれた刀だ」

山姥切長義。

それが、彼を表す本来の名前なのだろう。

監査官さんの正体が刀剣男士であると判明し、驚きを隠せないもののどこか納得できる自分がいる。

追ってから逃げきれるほど足が早かったり、燭台切さんの攻撃に対して即座に反応出来たり、人間離れした能力はこの数日間でも何度か片鱗を見せていた。

昨日にパンを一度は断ろうとしたのも、私が早朝に食事へ誘った際に戸惑っていたのも、彼自身が刀剣男士だというのなら腑に落ちる反応だ。