l o v e & s i c k (ページ8)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:8,979 hit

8 ページ8

『凄いじゃん！！北山先輩と話せて、その藤ヶ谷さんって人ともご飯食べれるなんて！！』

午後休憩、誰も居ない給湯室に駆け込んで
早速俊哉に電話をしていた。

((俊哉はいつ電話しても出てくれるんだけど。なんの仕事してるかは謎。))

「そうなのそうなのっ！！…わたし、運使い果たしちゃったかも〜」

『何言ってんの〜、北山先輩、絶対Aちゃんに気があるよ！！』

俊哉の口から、先輩の名前が出るだけで
お昼のことを思い出してニヤニヤして

顔が赤くなっちゃう。

(冗談でもちょっと期待しちゃうじゃん、俊哉のバカ！！//)

「ないないない！！たまたまお昼ご飯一緒に食べただけだしっ！！」

北山先輩の話をしてるだけなのに
何だか恥ずかしくなって

思わず出た大きな声が
小さい給湯室に響いた。

「…でも、一緒の定食屋さんで食べてたの知ってもらえてたのは、なんかちょっと…嬉しいっていうか…恥ずかしいっていうか…///」

『チャンスなんだから、頑張りなよ！！』

(チャンスって、言っても…)

会社のエースが集まる企画部のエースの彼。

つまり、エース中のエースである北山先輩を
私のものにしようなんて

恐れ多くて出来ないし

私なんかに出来っこない…。

誰かが締め忘れてたのか蛇口から
ポタポタと小さく垂れ落ちる雫を眺めながら

スピーカーから溢れる俊哉の声を
ぼーっと聞いていた。

『2トップで相棒だった藤ヶ谷さんと同じチームなんだから、利用しないとでしょ！！』

『先輩のこと、好きなんでしょ！！』

『心底惚れてんだろ！！』

.

« ぽちゃんっ »

大きな一雫が、
音をたてて吸い込まれてった。

「…大好きにだよ、苦しいくらい。」

その時、背後から小さく物音が聞こえた。