51.『太陽王が寵愛せし宝石と転生作家からのメール』 ページ6
「"
愛梨の姿でキッドは説明を始めた。
「そもそも、箱が揃ってこその作品だからだ」
愛梨の水色の瞳が、キッドによって造られた水色の瞳が、コナンを映す。その言葉に、海月が昼間に言った言葉を思い出した。
「心の囚人……」
正解と、口角を上げるキッド。そのまま、説明を続けた。何故、太陽王がこの宝石を寵愛したのか。
「皮肉とも取れるその宝石を見たとき、かの太陽王は今までのものとは違う魅力を感じたんだろうよ。そして、その皮肉ごと、それを寵愛した。まるで、自分の分身だと言うかのように」
愛梨の口から紡がれるキッドの声は、本の朗読をしているような芝居がかっていた。
「だから、これは、名探偵に返すぜ」
そう言って放りなげられた宝石を慌てて受け取る。後ろからざわつく声に、キッドは口角をあげた。
そして、踵を返し、走り出した。コナンもそれに反射して、後を追った。
「大丈夫ですか、愛梨さん」
眼を開けた先に、ぼんやりと見えた安室の顔に、弾かれたように上体を起こした。
「キッドが！！キッドが、現れたんです！」
そう興奮して安室に訴える愛梨に、彼は落ち着いてと警備員から受け取った水を渡した。愛梨は、それを受け取って、喉の乾きを潤す。
「キッドはコナンくんが追ってます。愛梨さん、身体に何か異常とかありますか」
安室の言葉に、愛梨は頭を振る。ただ薬品で眠らされただけで、それも危ないものではない。丁重に扱ってくれたらしい。
流石というべきか、なんというべきか。
愛梨はこそばゆく感じながら、傍のスマホを見る。SNSの通知が来ていた。
「あ、先生……」
通知からアプリへと入り、彼女のメッセージを見る。安室も興味があるようで、少し覗き見ていた。最初の言葉は、悪いから始まっていた。
"あの事とは、関係無い"
ただその一言だった。愛梨は、その言葉に泣きそうになって、スマホを握りしめた。
――嘘吐き。
52.『転生作家の自嘲』→←番外.『バレンタインの日のポアロ』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 738人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒井蜜柑(プロフ) - 花枝さん» ありがとうございます！本当に、長らくお待たせしてすいません！週一掲載で続けていけたらいいなと思っていますので、なるべく終了まで更新停滞がないようにがんばります！ (2021年5月24日 14時) (
レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
花枝 - お待ちしておりました！おかえりなさい、これからも応援しています！ (2021年5月23日 23時) (レス) id: 43f2320b1e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - きゃろさん» すいません、長らくおまたせしました！本当に更新停滞気味が多くてすいません。なるべく早くは続きを挙げたいと思いますのでもう暫くお待ちください。 (2021年4月29日 7時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
きゃろ(プロフ) - おかえりなさいです！続きが更新されてるのが嬉しくて感想を書いてしまいました！続き楽しみにしています。 (2021年4月29日 2時) (レス) id: d6911c13cc (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - 藤崎さん» 全然大丈夫です！期待に添えれるように、頑張っていきます。本当ゆっくりし過ぎですいません。 (2019年3月22日 23時) (レス) id: 16fd2908cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒井蜜柑 | 作者ホームページ：http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時：2019年2月14日 16時
