57.『転生作家の心理』 ページ12
「海月先生だったら、どうする?」
傾げられた首と、真剣な眼差しに私は苦笑いを浮かべる。
「いや、私は、サッカーを全く知らないんだが」
オタク脳で、サッカーのルールは知っているが、実際にプレイをした事はない。そもそも、運動が不得手だ。生まれた時から、スキルは頭脳系に全振りだ。
「それでも、何か1つに人生を掛けてきたでしょ?」
コナンがずいっと距離を詰めてくる。私は少し、仰け反った。あの、怖いんだけど。
「それはそうだが」
なら、と青い瞳が私を捉える。愛梨の瞳より深い、探偵の瞳。私の作品の主人公達は、このような瞳をしているのだろうか。
「それが無くなったら、海月先生はどうするか、どう思うかを教えて欲しいんだ」
だから、何を思ってお前はそれを聞くんだ、コナン。
私は苦笑いを浮かべて、頬を掻いた。先程から、このようにコナンに何故か迫られている。この間の、サッカー場爆破事件で思うことがあったのだろうか。
まだ犯人は捕まっていないから、11人目のストライカーの時間軸状なのだろう。
「やっぱり、恨んじゃうものなの?」
その気持ちがよくわからないといった様子で、聡明な瞳は尋ねてくる。さあ、私もわからないな。
しかし、いい質問だ。作品を書く上で、面白い思考だと思う。
「私の場合、頭が可笑しくなったら終わりだと思っているから、特に恨まないかもしれない。だが、そう考えると、私は……死を選ぶな」
その言葉に、コナンは、大きく瞳を見開いた。
「仮に、の話だから」
気にするなとそう言って、彼の頭を撫でる。
「しかし、彼は憎んだとするなら、また別の所に理由があるんじゃないか?なんにせよ、サッカーが好きな人間だったんだから」
私がそう諭すと、彼は礼を言って、ポアロを出ていった。
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黒井蜜柑(プロフ) - 花枝さん» ありがとうございます!本当に、長らくお待たせしてすいません!週一掲載で続けていけたらいいなと思っていますので、なるべく終了まで更新停滞がないようにがんばります! (2021年5月24日 14時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
花枝 - お待ちしておりました!おかえりなさい、これからも応援しています! (2021年5月23日 23時) (レス) id: 43f2320b1e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - きゃろさん» すいません、長らくおまたせしました!本当に更新停滞気味が多くてすいません。なるべく早くは続きを挙げたいと思いますのでもう暫くお待ちください。 (2021年4月29日 7時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
きゃろ(プロフ) - おかえりなさいです!続きが更新されてるのが嬉しくて感想を書いてしまいました!続き楽しみにしています。 (2021年4月29日 2時) (レス) id: d6911c13cc (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - 藤崎さん» 全然大丈夫です!期待に添えれるように、頑張っていきます。本当ゆっくりし過ぎですいません。 (2019年3月22日 23時) (レス) id: 16fd2908cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒井蜜柑 | 作者ホームページ:http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時:2019年2月14日 16時