【名探偵コナン】転生作家の心得 Act.2

65.『上賀茂愛梨の悩み　その伍』 ページ20

こうして始まった安室による愛梨の護衛。私はそれのサポートをしなければならなかった。主に、どいつかを確認するという。それが始まって三日経った日のこと。

愛梨からのSOSメールが、私に届いた。

私の家から愛梨の借りるマンションは、十数分ある。どちらかと言うと、ポアロから近い。

古いマンションなので、防犯はザルだ。まぁ、大学生のひとり暮らしには優しい値段だ。一応、東都ならば、それくらいのボロさが値段の妥当となる。

｢ひっくり返されたっていう表現が当てはまるくらいの惨状だな」

踏み入れた愛梨の部屋は、本当に悲惨だった。

箪笥から服ははみ出ている。棚に仕舞われていた本は全て落ち、足場すら無い。クローゼットは開けっ放しで、ダンボールの中のものは、外に出されているし、他のダンボールも転がされている。

わざとらしいくらいの、ひっくり返し方だった。

｢盗られていたものは？」

｢貴重品とか金目のものは何も。けど、原稿のコピーが無くって」

原稿が？

ストーカーのしわざにしては、可笑しくないか。眼をつけたのがもしかして業界関係者か？それとも、嫌がらせか？

疑問を抱いていると、私は何か落ちているのが目についた。それを拾って見てみると、愛梨の笑顔の写真。

どっからか落ちたのかと思いながら、裏面に返してぴしりと固まった。

"海月水盆よりも僕はすごいよ"

――何で、私の名前が？

眉を顰めながら、私はそれをポケットに直した。明らかに動揺して、パニックになっている愛梨にこれを見せるのは得策じゃない。

｢警察を呼ぶぞ」

私はそう言って、警察に電話を掛けた。

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