【名探偵コナン】転生作家の心得 (ページ25)

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24.『上賀茂愛梨の不運　その拾』ページ25

そのサッカーボールは、私を蹴飛ばした男の顔面へと諸に入り、一瞬よろめいた刹那、そこから飛び出してきた影に鳩尾に一発決められ、K.O.だ。

「大丈夫ですか、愛梨さん。そして……海月先生」

振り返った金髪に不覚にもトキメキ……ませんでしたね。来ると思ってたし。

「安室さん！先生、流石です本当……」

愛梨はコナンに縄を解かれながら、そう項垂れた。私は肩を抑えつつ、立ち上がる。悪役よろしく、リーダー格の男は逃がすなと叫んた。

しかし、愛梨は柔道経験者だといっただろう。自由になった愛梨と、ボクシング経験者の安室、コナンのサッカーボールによって沈められた。え、私か？私はそもそもそういうのに向いてないから壁側で囮になったり、逃げ回ってたわ。

「君たちは一体……」

そう狼狽えるリーダーにその場に落ちていた拳銃をハンカチ越しにグリップを掴み、銃口を向けた。粗悪品だが、弾丸は入ってるようだ。私は安全ピンを回した。

「金輪際、愛梨に近づいてみろ。その時は私がお前を殺してやる」

その場の空気が一気に凍りついた。そう言い放った海月の瞳は、酷く冷淡であった。本当に、人を殺しても可笑しくない、それでいて、人の命をなんとも思っていない瞳だった。

その瞳に呑まれた男はすっかり腰をぬかした。海月は直ぐに拳銃を放り、笑顔を浮かべた。

「なんちゃって」

そう言って、海月はリーダーの男から背を向けた。そして、まだ凍りついている探偵二人を見て肩を竦めた。

「真逆本気にしたのかい？あんなの、アニメから取ったに決まってるじゃないか。」

私はただの一般人だと、そう彼らに言い告げて扉へと視線をやった。警察が突入してきたのはそれから間もなくのことだった。