22.『上賀茂愛梨の不運 その捌』 ページ23
「サツか」
ドスの効いた声。本当に力が強い。痛みが強くなっていく。私は眉を顰める。
「だとすれば、君たちは、一網打尽だね」
まるで三文小説の台詞だ。ああ、嫌になる。私は手に持っていたスタンガンを後ろ手で男に向ける。明日筋肉痛決定だ。刹那に、その手は膝をぶつけられ、落とされた。痛みしかない。
「余計なことすんなよ、女。こんままバラされたくなければ、大人しくしてろ」
やっぱり三文小説だ。私は舌打ちと同時に体を張って吹き飛ばした。
「殺されたほうが、いいね。展開が、三文小説じゃないか」
虚勢にも見えるか。男は笑うとそうかと言って、銃を出してきた。背中に銃があたる。
これが死に至るという感覚か?それとも、三文小説みたいに誰か助けに来てくれるか。そんなの、期待するだけ楽しくない。思いっきり足を踏みつけると、怯んだ隙に突き飛ばした。発砲音が、鼓膜を叩く。
「猟奇心に火をつけてくるような行動するなよなぁ、女が!」
何発か、火が吹く。その度に何処か擦傷を負っていく。まるでコナンのようだな。私はポケットに仕舞い込んでいた物を取り出す。機を狙え。見謝るな。
「…赤ずきんより、私は、木こり派だよ!」
丁度私に覆いかぶさる状態になった瞬間、私は引き金を引いた。弾ではなく、飛び出るのは唐辛子を大量に入れた冷水だ。
男の瞳に水が飛び込んだ。その影響で目を抑えて呻く。しかし、引き金がその弾みでひかれ、私の肩を貫いた。その直後、銃が落ちたのを見て、私はそれを蹴飛ばした。
「っ、」
撃たれたらこんなに痛いらしい。肩を抑え、落ちていたスタンガンを手に取ると当てた。気絶したのを見て、私は今度こそと向かっていく。肩から流れ落ちる血が床へと垂れる。
私はその状態で、スマホを取り出す。LINEを開くと、あるアカウントをタップしてトークを選ぶ。そして、位置情報を送ると足を進めた。
待ってろ、愛梨。
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黒井蜜柑(プロフ) - トめAと@とまと:カド松さん» ありがとうございます。 (2022年5月17日 22時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@とまと:カド松(プロフ) - はい、マジ好きです応援します (2022年5月17日 21時) (レス) id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - トめAと@とまと:カド松さん» それは凄く嬉しいです。愛梨ちゃんがいてこそのこの作品なので是非とも応援してください。 (2022年5月17日 21時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@とまと:カド松(プロフ) - 夢主っぽいのがいるときいて何だ地雷か?って思ったらバリタイプだだった。 (2022年5月17日 21時) (レス) @page49 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - 目覚ましさん» そう言って、いただいて幸せです! (2018年12月14日 16時) (レス) id: 16fd2908cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒井蜜柑 | 作者ホームページ:http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時:2018年11月10日 22時