【名探偵コナン】転生作家の心得 (ページ3)

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02.『転生作家の理論』ページ3

「ね、顔出ししましょうよ！ね！ね！」

しつこいインタビューを潜り抜け、テレビ局を出たのは夕方のことだった。やや溜息混じりに伸びをしつつ、早足でその場を去る。

顔出しを求められたことは幾度もある。賞を取るたびに顔出しをNGにしてきた。理由は簡単、目をつけられたくないのだ、近くの小さな探偵に。常連さんとして警戒されていないのだから、私は平和に生きていきたい。というか、頻繁に殺人事件に遭いたくない。

運転免許証は幾年か前に習得し、何年ローンだったか忘れたが車も買った。印税と賞金で貯金はあるが、背後から刺されたくないので車を一括で払いはしないし、家を買いもしない。いつかは買うけど。と、言うわけで近くに止めていた車に乗り込む。日産のスカイラインで、オーロラブルーパールだ。

自宅は警視庁の近く……というのは嘘で、米花町のアパートだ。築何十年と言っただろうか。決して燃えてはいないので悪しからず。それは、別のアパートだ。

エンジンを掛け、ブレーキを踏む。下手ではない方だ、運転は。前世もスカイラインを運転していた。その理由で今回もこの車である。

ギリギリ帰宅ラッシュに巻き込まれず、自宅近くの駐車場に辿り着いた。自動鍵でロックを掛け、歩いて数分、帰宅した。前述のとおりではあるが、かなり古い。

私が実家を出てきて初めて借りた家だ。その時点で充分に金はあったが、ひとり暮らしでアパートに憧れていた私はオートロック付のマンションを蹴った。

本当に親戚には悪いことをしたと思う。後悔はしてないが。部屋の中に入ると相変わらず、資料が乱雑していた。私の責任だこれは。〆切をなんとかクリアしたし、久方ぶりに片付けるとしよう。そして、次の構想を練り始めておこう。

私は資料を拾うと、種類別に纏め始めた。掃除機は明日掛けるとしよう、隣人に迷惑になる。この築いた八年の隣人関係は上々と云えよう。

資料をバインダーへと入れ、棚へと直す。そして出しっぱなしのカロリーメイトを専用ボックスへと直した。明後日くらいには買いたしておこう、プレーンしか残っていない。私はチョコレート味が食べたい。

明日の予定を脳内で立てながら、散らかった部屋を片付けていく。買い出しと掃除機は午前中に終わらせなくては。午後からは、大学からの招集が入っていた。どうやら文芸サークルに顔を出してほしいと、世話になった教授が言っていた。鬼かよ。

一時間もかからず片付けを済ませて、夕飯の為に調理台に立った。